台湾に伝わる「客家(ハッカ)」文化は、名前を聞いたことがあっても祭りや風習が少し難しそうに感じる人も多いかもしれない。今年の夏、台湾北部の都市・桃園がそのイメージを変える。桃園市政府は10日、客家の二大伝統祭「義民祭」と「乙未祭」を一つにした「2025桃園義勇季」を開催すると発表した。約2か月にわたるこの祭典は、単なる宗教行事ではなく、客家の先人が大切にしてきた「義勇」の精神を、音楽や演劇、親子向けの体験イベント、小旅行などを通して体感できる文化イベントとなる。
桃園市長の張善政氏は「客家文化には二つの精神がある。一つは郷土を守る『義民』、もう一つは日本統治以前の1895年に起きた『乙未保台戦役』だ」と説明する。時代は違えど、どちらも郷土と人々を守ろうとした歴史であり、「忠魂義魄」の精神が息づいている。今年、市政府はこれらを「桃園義勇季」として融合させ、寺廟の中にとどまっていた客家の歴史や信仰を、より多くの人々に広めようとしている。

「義勇季」では、これまでプロの劇団が演じていた舞台に地元住民を招き、「乙未保台戦争130周年記念音楽会」や「義民風雲音楽舞台劇」に参加させる。身近な人々が語ることで、歴史や文化がぐっと近づく。さらに、親子で楽しめるミッションイベント、当時の戦場をめぐる小旅行、歴史をテーマにしたクイズラリーや客家モチーフのワークショップも用意し、楽しみながら台湾の歴史に触れられるようにしている。
革新が伝統を消すわけではない。桃園市の客家局は「義民廟中元普渡」や「義民爺出巡遶境」といった伝統行事の核心は守り、百年続く祭りの厳かさや魅力もそのまま体験できるとしている。
「2025桃園義勇季」は、客家文化に馴染みがない人にも開かれた祭典だ。台湾旅行の新しい魅力として、歴史・信仰・芸術・暮らしが交差するこの文化体験をぜひ楽しんでほしい。詳しいスケジュールや参加方法は、桃園市政府の公式ウェブサイトで案内している。
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