台湾文化部は8月2日より、大阪で台湾の多様な文化と歴史を紹介する展覧会「台湾スペクトル(台湾光譜)」を開催する。会場は、建築家・安藤忠雄氏が設計を手がけ、昨年オープンした複合文化施設「VS.(ヴイエス)」。15メートルの吹き抜け天井を持つこの現代的な展示空間で、台湾という島の複雑な歴史と精神が立体的に描き出される。
今回の展示は、アート、クラフト、テクノロジーを融合させ、「台湾とは何か」という問いを世界に向けて投げかける構成となっている。都市再開発と芸術、商業の交差点に位置するこの会場は、まさに「混成」を本質とする台湾文化との親和性を備えている。
台湾は、多様な民族や歴史の重なりによって独自の文化を育んできた。この展示では、その特質を「光のスペクトル」に例え、三つのテーマゾーンとして展開する。各ゾーンは独立しながらも互いに響き合い、台湾の全体像を浮かび上がらせる。

歴史と感情を映す「台湾本色」
第一のゾーン「台湾本色」では、台湾の文化的基層を構成する歴史と芸術が紹介される。日治時代から現代にかけての風土への思いを、陳澄波や廖繼春といった国宝級の画家たちの作品と、アート集団「豪華朗機工」によるデジタル演出で体感できる。
自然との共生から生まれた「光織自然」
続く「光織自然」は、土地と工芸の関係をテーマとするゾーン。陳景林と馬毓秀による手染布のインスタレーション《台湾色譜牆》や、楊偉林の繊維アートを通じて、台湾の自然と共鳴する創造の在り方が提示される。
暮らしと信仰の記憶を辿る「島嶼声譜」
最後の「島嶼声譜」では、台湾の日常風景に息づく音が主役となる。音楽家・柯智豪が収集した廟の鑼鼓(らこ)や市場の喧騒が空間を満たし、観客の記憶に訴えかける没入型の音響インスタレーションが展開される。

本展は、視覚・聴覚・触覚を通じて台湾の文化的レジリエンスを体感できる「自信に満ちた自己紹介」とも言える。台湾文化部は、「台湾は歴史の交差点で自らを定義する島である」とし、世界の来場者にその多層的な姿を知ってもらうことを目的としている。
「台湾スペクトル」展は8月2日から開催され、観覧は無料。事前予約は「We TAIWAN」公式ウェブサイトおよびLINE公式アカウント(@we_taiwan)にて受付中。また、公式XおよびInstagramでは最新情報を随時発信している。
編集:梅木奈実 (関連記事: 大阪・関西万博》台湾が「奇跡の島」として万博に登場 新キャラ「a-We」で未来への希望を届ける | 関連記事をもっと読む )
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