台湾の国産潜水艦「海鯤号」は6月26日に第2回海上試験を実施し、各システムの海上動的統合検証と艦船操縦運転能力を完了した。今後の各段階における海上試験がさらに注目されている。海上自衛隊退役海将・元潜水艦隊司令官の矢野一樹氏は「海鯤号」を「日本の潜水艦よりもやや優れている」と高く評価していた。同氏は来週月曜日にビデオ会議で台北において英語による講演を行う予定で、その際に台湾の国産潜水艦についてさらなる提言を行う可能性がある。
7月7日(月)、矢野一樹氏(以下、矢野)は「対中抑止戦略における潜水艦の重要性」をテーマに、淡江大学キャンパスで英語によるビデオ講演を行う予定である。
この講演の主催者である淡江大学日本政経研究修士課程の蔡錫勲教授は《風傳媒》に対し、矢野氏はかつて日本の潜水艦隊司令官を務め、退役後も潜水艦製造企業である三菱重工業で顧問を務めたことがあることから、潜水艦分野での地位が非常に重視されていることがわかると述べた。
矢野氏は潜水艦で8年以上勤務し、1990年代末期には海上自衛隊の潜水艦「ふゆしお」の艦長を務め、2011年から2013年まで海上自衛隊潜水艦隊司令官を務めた。2013年に海将(三つ星)の階級で退役した。
矢野氏は2023年10月上旬、日本のBS日テレの報道番組「深層NEWS」に出演した際、「海鯤号」は米国を中心とする同盟陣営の連携による成果であり、中国の強大な圧力の下でも、米国の同盟国が揺るぎない意志を示し、台湾が自前の潜水艦を保有することを決意したと述べた。また「海鯤号」については、「日本の潜水艦をやや上回る」との高い評価を与えている。
しかし、中国の軍事的脅威は絶え間なく増大しており、特に潜水艦の研究開発速度の加速が国際的に高い関心を呼んでいる。米国防総省が2024年に発表した中国軍事力報告によると、2022年末時点で中国人民解放軍海軍は約61隻の現役潜水艦を保有しており、そのうち48隻がディーゼル動力攻撃潜水艦、6隻が原子力推進潜水艦である。
戦後の日本国憲法と原子力基本法(原子力の開発と利用に関する日本の基本法律)に基づき、日本は「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」の原則を堅持し、同時に原子力推進軍艦の研究開発計画も持たない。
蔡錫勲氏は、海上自衛隊はすべて通常動力潜水艦を配備しており、矢野氏は来週月曜日の講演を通じて台湾の聴衆に、日本の重要な潜水艦戦略および中国人民解放軍海軍に対する抑止戦略の実施方法についてより深く理解してもらうことを期待していると述べた。

編集:柄澤南 (関連記事: 舞台裏》潜水艦の秘密! 日本の追跡、漁民がクジラと勘違い…海鯤号の海上試験、水中に潜む監視網 | 関連記事をもっと読む )
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