アメリカ司法省は本日、6人の中国人、2人の台湾人、1人の米国市民の計9人を起訴したと発表した。これらの被告は、北朝鮮と関係のあるIT技術者が米国の100社以上からリモート勤務の職を得るのを支援し、北朝鮮に少なくとも500万ドル(約14億台湾ドル)の収入をもたらし、同国の兵器開発計画を資金面で支援していた疑いがある。
2人の台湾人、6人の中国人、1人のアメリカ人が起訴
北朝鮮によるミサイルおよび核兵器開発計画を抑止するため、国連は同国に対し制裁措置を講じ、関連資金の流れを遮断している。米国司法省が引用した法廷資料によれば、北朝鮮政府は世界各地に高度な技術を持つIT人材を多数派遣し、米国人の身分を不正に使用して米国内の企業でリモートのIT職に就かせ、同国の大量破壊兵器開発計画の資金を得ていたとされる。
米国司法省によると、マサチューセッツ州ボストン市の連邦検察は、台湾籍の劉孟婷氏および劉恩氏を含む9人を起訴した。詐欺行為に使用された金融口座、ウェブサイト、ノートパソコンなども押収された。
被害を受けたのは、「フォーチュン」誌が選ぶ米国の500大企業の一部や、カリフォルニア州に本社を置く国防関連企業などである。これらの企業は、雇用した人物が米国内で勤務していると誤認していたが、実際には多くが北朝鮮または中国に滞在しており、支払われた給与は北朝鮮と関係のある口座に送金されていた。
司法省国家安全保障部門の責任者ジョン・アイゼンバーグ氏は声明を通じ、これらの計画は米国企業の資金を詐取し、制裁を回避して北朝鮮政権の違法行為――特に兵器開発計画――を資金面で支援することを目的としていたと述べた。
被告らは、報酬を受け取るための金融口座を開設し、架空会社の偽サイトを立ち上げるなどして、雇用されたIT人員が正規の企業に所属しているかのように装っていたとされる。また、米国内に所在する身元不詳の協力者から支援を受け、遠隔で企業のコンピュータシステムにアクセスすることで、被害企業に対し当該人員が米国内からログインしているように見せかけていたという。
100以上の米企業を浸透「北朝鮮武器資金調達」
法廷資料によれば、2024年10月、米国の捜査当局はニューヨーク州、ニュージャージー州、カリフォルニア州の計7カ所で家宅捜索を実施した。その中には「ラップトップ・ファーム」と呼ばれる施設も含まれており、これは米企業のノートパソコンを詐欺目的で設置・利用していた場所である。捜査の結果、被害企業に属する機器が70台以上押収された。
さらに当局は、北朝鮮のIT活動を支援していたとされる21件の詐欺ウェブサイトのドメインを差し押さえ、29の金融口座を凍結した。これらの口座には数万ドル規模の資金があり、リモートIT業務を通じて北朝鮮政権の資金洗浄に使用されていたとみられる。
同日、ジョージア州当局も類似の訴訟を公表し、北朝鮮籍の4人が偽の身分を用いてアトランタにあるブロックチェーン開発企業に潜入し、数十万ドル相当の仮想通貨を盗み取ったうえ、その資金を国外に洗浄していたと訴追した。
米国司法省によれば、ジョージア州の事件は、これまでの北朝鮮による典型的なIT人員の手口とは異なるという。従来の北朝鮮IT技術者は、主に給与を本国に送金する目的で就労していたのに対し、今回ジョージア州北部地区連邦地裁により起訴された被告らは、暗号資産関連企業に就職し、企業の信頼を得た上で仮想資産を盗み取っていたとされる。 (関連記事: 日米が拡大抑止協議を実施 英海軍は北朝鮮「瀬取り」監視活動を継続 | 関連記事をもっと読む )
編集:柄澤南
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