米国が導入している相互関税の猶予措置が、当初の期限である7月9日を超えて延長されるか否かに各方面の関心が集まっている。ホワイトハウスの報道官であるリーヴィット氏は定例記者会見で、「延長は不可能ではない」と述べつつも、最終的な判断は大統領に委ねられると強調した。また同氏は、「期限そのものが絶対的に重要というわけではない」とも指摘し、トランプ政権として交渉の余地を残しつつ、各国に対して関税政策が引き続き交渉可能であるとのシグナルを送った。
この緩和措置はどのように始まったのか?
トランプ氏は今年4月、「解放の日」の演説で相互関税の発動を高らかに宣言し、一部の関税率は最大で50%に達した。同時に90日間の猶予期間が設けられ、この間に輸入国が米国と協議を行い、期限内に合意が成立すれば、関税はより競争力のある水準まで引き下げられる可能性があるとされた。この措置は、世界の貿易環境を再構築するだけでなく、トランプ氏の選挙戦略における重要な切り札ともなっている。
米中協定は本当に成立したのか?レアアースが最大の見どころ?
米国のルートニック商務長官は、先日行われたブルームバーグのインタビューにおいて、米中間で重要な貿易合意が成立したことを明らかにした。合意には、中国が対米輸出を停止していたレアアース資源の供給を再開する内容が含まれている。ルートニック氏は「中国側が輸出を再開すれば、我々もそれに伴う報復措置を解除する」と述べた。ただし同氏は、今回の合意はフェンタニル問題や米国製品の輸出障壁といった困難な課題には踏み込んでおらず、「包括的な協定には至っていない」との認識を示した。
トランプは他にどのような貿易協定を締結しようとしているのか?
中国以外にも、トランプ政権は主要な貿易相手国10カ国を対象に、今後2週間以内に一連の協定締結を目指して交渉を進めており、7月9日までに「優先分類」を完了させる構えを見せている。ルートニック商務長官によれば、インドなど一部の国はすでに合意の最終段階に近づいているという。一方で、交渉が期限内にまとまらない国に対しては、トランプ氏が一方的に貿易条件を提示し、現行の関税率を受け入れるか、再交渉に応じるかを各国に選ばせる方針である。
新しい関税が発効するかどうかで、世界にどのような影響が?
カウントダウンが最終局面に入る中、高関税の再導入があるか否かに市場の関心が高まっている。トランプ氏はすでに、交渉が進展しない場合、4月に凍結した全面的な関税措置を再開すると予告している。専門家は、これが世界のサプライチェーンに打撃を与えるだけでなく、再び国際的な資本市場を動揺させる可能性があると警告する。猶予期間の延長があるかどうかは、各国が妥協に踏み切るかどうかを判断する上での重要な圧力となっている。
編集:柄澤南 (関連記事: 米中が貿易協定に正式署名 中国はレアアース輸出再開を約束、制裁解除を米国に要請 | 関連記事をもっと読む )
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