台湾総統・賴清德氏は「国家団結十講」シリーズの第2回講演として、6月24日に桃園市の客家青年会で「団結」をテーマに演説を行った。賴氏は、前総統・蔡英文氏が2021年に打ち出した「4つの堅持」が8割以上の国民の支持を得ているとし、「この民意こそが台湾最大の公約数である」と強調。その力を最大限に引き出すには、選挙やリコールといった民主的プロセスを通じて、「鉄を打ち、剣を鍛える」ように、意志と制度の純度を高めていく必要があると訴えた。
演説ではまた、1927年の蔣渭水による台湾民衆党の設立、1949年の古寧頭戦役、1958年の823砲戦といった歴史的抵抗を引き合いに、台湾は民族や出自を超えた団結によって外来の脅威に立ち向かってきたと振り返った。1992年の国会全面改選や1996年の総統直接選挙、2000年の政権交代など、台湾民主主義の歩みは全国民の協力によって実現された成果だと語り、「主権は国民にあり、人民が主人である」という原則を守り抜く決意を示した。
賴氏はさらに、台湾がCOVID-19への対応で国際的に高い評価を得たことや、経済成長、WBC世界野球12強大会での勝利なども、団結の力を示す事例だと指摘。「台湾が強くあれば、中国の併呑に対しても断固として立ち向かえる」と述べた。
賴氏:民主を鍛えて国家の団結力を
賴氏は、民進党が採択した「族群多元国家一体決議文」にも言及。台湾は多様な民族によって成り立ち、すべての民族がこの国の「主人公」であり、それぞれの言語と文化は台湾文化の一部であると述べた。さらに1999年の「台湾前途決議文」に触れ、「台湾は主権独立国家であり、中華人民共和国とは互いに隷属しない」と明言。台湾の地位に関わるいかなる変更も、台湾住民の国民投票によって決定されるべきだと主張した。
そして、蔡英文前総統の「4つの堅持」が8割の支持を得たという民意こそが、台湾を守る力だと改めて強調。「民主を鍛えて国家の団結力を高める」ためには、一票一票を積み重ね、選挙やリコールという制度を繰り返し実践することで、「主権と民主主義を守る鉄の意志」を育てていく必要があると呼びかけた。
賴氏:台湾派と中華民国派の団結で共産主義に対抗
また、賴氏は「台湾派」と「中華民国派」の双方が共産主義に対抗するために団結すべきだと提唱。すでに社会にはそのような民意が形成されており、政府や立法機関にも反映されていると述べた。「台湾派は台湾を守り、中華民国派は反共を貫く。共に団結し、民主主義の台湾を守ることこそ、現在の台湾の主流民意であり最大公約数だ」と語った。
最後に、群衆大会「拒絶統戦・守護台湾」で中華民国の国旗と台湾独立の旗が並んで掲げられた光景を紹介し、それが象徴する「連携の力」を訴えた。彼は「台湾の主権と民主主義を守るには、イデオロギーを越えた団結が不可欠だ」と結んだ。
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編集:田中佳奈
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