米軍「ミッドナイトハンマー」作戦、フォルドウ地下施設に6発貫通 濃縮ウランは事前に移送か

2025-06-23 10:58
マクサー・テクノロジーズの衛星画像は、2025年1月24日のイランのナタンズ核施設を示している。(AP通信)
マクサー・テクノロジーズの衛星画像は、2025年1月24日のイランのナタンズ核施設を示している。(AP通信)
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米国防総省が「ミッドナイト・ハンマー(Operation Midnight Hammer)」と名付けた軍事作戦は、世界に衝撃を与えた。米軍はB-2ステルス爆撃機を投入し、イラン国内の複数の核関連施設に対して精密攻撃を実施。中でも特に注目されたのは、ゴム(Qom)近郊の山岳地帯に深く埋設されたフォルドウ(Fordow)核燃料濃縮施設だ。最新の衛星画像によれば、施設上方の山肌には6つの巨大なクレーターが確認されており、「バンカーバスター」爆弾の破壊力の高さがうかがえる。ただし、軍事専門家の間では、地表の構造物は大きく損壊したものの、地下深くにある中枢施設が完全に破壊されたかどうかは依然として不明だとの指摘も出ている。

ロイターが分析したマクサー・テクノロジーズ(Maxar Technologies)の衛星写真によると、米軍の空爆前後の比較画像には、フォルドウ核施設が位置する山の尾根に、2列で合計6つの規則的な貫通孔が確認された。元国連核査察官で、ワシントンのシンクタンク「科学・国際安全保障研究所(ISIS)」所長のデビッド・オルブライト氏は、これは米軍が投下したGBU-57大型バンカーバスター(通称「MOP」=Massive Ordnance Penetrator)によるものと見られると指摘。「米軍はMOPで山体を直接貫通させた。フォルドウ施設はおそらく壊滅しただろう」と語った。

豆知識:大型貫通爆弾(MOP)

「バンカーバスター」とも呼ばれるGBU-57は、アメリカが深層地下目標を攻撃するために特別に設計した切り札の武器で、一発あたり3万ポンド(約13.6トン)の重量を持つ。2012年の米国議会の報告によれば、強化コンクリートや深層岩石を60メートル貫通した後に爆発することができ、フォルドウのような厳重に警備された地下要塞を標的に設計されている。

アメリカ統合参謀本部議長のケイン上将(Gen. Dan Caine)も、この作戦においてB-2爆撃機7機を投入し、MOP爆弾12発が投下されたことを確認した。軍事アナリストは、これはアメリカ軍が「ダブルタップ」戦術を採用しており、第一波で6発の爆弾を投下した後、同じ地点に対して第二波の精密爆撃を実施することで、深く埋められた目標を完全に破壊することを狙ったものであると推測している。しかし、衛星画像解析に精通したアメリカ海軍分析センター(CNA Corporation)副研究員のデッカー・エヴレス(Decker Eveleth)は慎重な姿勢を示しており、数百台の遠心分離機が保管されている基地は非常に深い位置にあるため、単なる衛星画像で損害程度を評価するのは困難であると考えている。 (関連記事: トランプ氏がイランを攻撃したら何が起こるのか――米専門家が語る最悪のシナリオ 関連記事をもっと読む

遠心分離機と濃縮ウランはすでに移転済みか?

今回の攻撃で最も不安視される点は、イラン側が事前に準備していた形跡があることである。多くの専門家は、攻撃の2日前(6月20日、21日)にフォルドウ施設の入り口で「異常な活動」が衛星によってキャッチされており、外で長い車列が並んでいたと指摘している。イランの情報筋がロイターに伝えたところによると、アメリカ軍の攻撃前に、大多数の濃度60%に達する武器級高濃縮ウランが非公開の秘密の場所に転送されていた。

イラン中部ナタンズ核電力施設で発生した大規模爆発の様子。一部の建物が瓦礫となった。(AP)
イランナタンズ核施設の内部写真。(AP通信)
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