台北で最も恐れられるトンネル、辛亥トンネルの怪談
台北市で最も有名な心霊スポットの一つとされる「辛亥トンネル」。全長はわずか500メートルにも満たないが、不気味な雰囲気と都市伝説が絶えず囁かれ、まるで終わりの見えない異世界のようだと語られる。照明は薄暗く、トンネル内に漂う静けさが、数々の奇妙な体験と相まって不気味さを増している。
YouTubeチャンネル《異世界》では、辛亥トンネルにまつわる2つの実話が紹介されており、いずれも視聴者から寄せられた一人称の体験談となっている。今回は、そのうちのひとつを紹介したい。
辛亥トンネル心霊事件1:高校時代の友人が語った「出口のないトンネル」と「長髪の女」
最初の物語は、語り手の高校時代の友人・小明さんに起きた出来事である。ある日、共通の友人から「小明が入院した」と連絡を受け、万芳病院へ見舞いに向かった。
病室で目にしたのは、体中に傷を負い、脚を骨折した小明さんの姿だった。事情を尋ねると、彼は放課後、友人と台北・東区で談笑した後、いつものようにバイクで自宅へ戻る途中だったという。通り慣れた興隆路を走り、辛亥トンネルへと入ったのだが、そのときから異変が起きた。

その夜、トンネル内に自分以外の車両はなく、不気味な静けさに包まれていた。不安を感じながらもそのまま進んだが、いつまで経っても出口が見えない。数百メートルのはずの距離が、まるで永遠のように感じられた。
堂々巡りに陥ってしまったのかもしれない。噂によれば、こうした異常空間から脱出するには「卑猥な言葉を叫ぶといい」という。恥ずかしさを押し殺して叫びながら走り続けると、不思議なことに、遠くに出口が見え始めた。
安堵したのも束の間、バックミラーに「それ」が映った。後部座席に、顔の見えない長髪の女性が座っており、前方へ手を伸ばしているのが見えたのだ。それが彼を掴もうとしていたのか、スロットルに触れようとしていたのかは分からない。
恐怖に凍りついた小明さんは、バイクのバランスを崩して転倒。大けがを負い、病院に運ばれることになった。後に彼は、「罵声が効果的だったかもしれないが、代償が大きすぎた」と振り返っている。

辛亥トンネル心霊事件2:墓地エリアの不気味なささやき
次に紹介するのは、筆者である私が体験した心霊話だ。15、6歳の頃のことで、好奇心と冒険心が旺盛だった時期である。ある晩、友人たちと台北の有名な心霊スポット「辛亥トンネル」の「上部」を探検することになった。
このトンネルの上には山間の墓地が広がっており、人の出入りも多いため、当時はそれほど恐怖を感じていなかった。夜11時から12時ごろ、仲間と墓地周辺を歩き回り、涼める場所を探していたが見つからず、「じゃあ他の場所にしよう」と話していた。 (関連記事: 大湖いちご・三義老街を超えた! 苗栗で最も人気の観光スポットに35.4万人、「美食天国で行く価値大」 | 関連記事をもっと読む )

そのとき、突然私の耳元ではっきりとした老紳士のため息が聞こえた。自分だけの空耳かと思って顔を上げると、周囲の仲間も顔をこわばらせていた。どうやら、皆に同じ音が聞こえていたらしい。