オーストラリアのシンクタンク「ローウィ研究所」は今週、最新の調査結果を発表した。それによると、トランプ氏が米国大統領としてホワイトハウスに復帰する可能性が高まる中、オーストラリア人の対米信頼感は大きく低下している。
国際問題において米国が「責任ある行動をとる」と信じるオーストラリア人の割合は36%にとどまり、前年から20ポイント減と大幅に下落。これは、同研究所が調査を開始して以来、過去最低の数字となった。一方で、56%の回答者が「10年後に中国が世界で最も強い国になる」と見ており、米国の27%を大きく上回っている。
トランプ氏が信頼を失い、世界への不安感が拡大
同調査はまた、国際情勢の緊張が続く中、オーストラリア人の安全感と経済に対する楽観も歴史的な低水準にあることを示している。世界を「安全」または「非常に安全」と感じている人は51%、今後5年間のオーストラリア経済を楽観視する人も52%にとどまり、2020年のパンデミック期と並ぶ水準に落ち込んだ。
ローウィ研究所の「感情の温度計」では、アメリカへの好感度も9ポイント減少し、50%となった。さらにトランプ氏の任期中、米国が国際問題で「正しい行動をとる」と信じる人は25%と、2019年の最低水準と同じレベルである。
同研究所のマイケル・フリロブ所長は、プレスリリースで「トランプ氏が再び政権を担う可能性が高まる中、オーストラリア人の不安は顕著になっている」と述べた。実際に64%が、米国が国際的に責任を果たすことに懐疑的だと回答しており、これも過去最低の水準である。

中国への信頼はわずかに回復、ただし警戒は根強く
一方で、オーストラリア人の中国および習近平国家主席に対する感情は、微増ながらも改善がみられた。ただし、依然として多くの人々が中国に対して「慎重な姿勢を維持すべきだ」と考えている。
中国を「経済パートナー」として見る割合は50%、一方で「安全保障上の脅威」と捉える人は47%で、国民の見方は二分されている。また、中国が今後20年間にわたり軍事的脅威を及ぼす可能性があると考える人は69%に達した。
技術面では、中国が10年以内にアメリカを上回ると考える人が58%に上った。超大国としての比較では、依然として52%が米国を優先すべきと考えている一方で、中国を重視すべきという回答は43%にとどまっている。
この調査を主導したローウィ研究所のライアン・ニーラム氏(公衆世論と外交政策プロジェクト責任者)は、今年初めに中国海軍がオーストラリアを周航して以来、多くのオーストラリア人が中国に対して警戒感を抱いていると述べている。
しかしニーラムム氏は将来を見据え、「中国が10年内に世界最強の国になると信じる者の数が、アメリカを信じる者の数の2倍以上である」とも付け加えている。

習近平氏への個人的信頼は依然低いまま
中国に対する「一定の信頼」を示した人は全体の20%で、2022年の過去最低からはやや回復したとはいえ、低水準にとどまっている。習近平氏個人に対する信頼も、昨年より4ポイント上昇して16%。依然として、信頼度は低い状態が続いている。
自由民主主義国家に対する信頼は引き続き高く、対日信頼度は90%で過去最高を記録し、5年連続で首位を保っている。ニュージーランドへの信頼も85%にのぼり、ラクセン首相への個人信頼も63%。英国についても、信頼度は85%、スターマー首相への信頼は59%、好感度は75%となっている。
対照的に、最も信頼されていない国はロシアで、信頼度はわずか11%。国家指導者としては、北朝鮮の金正恩氏が最低で、信頼すると答えた人はわずか4%だった。
編集:田中佳奈
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