日本与野党税制改革を巡る攻防 野党は消費税削減を求め、自民党は国債の深刻な影響を懸念

2025-06-16 10:19
日本の税制改革をめぐる攻防。写真は日本国会。(資料写真、AP通信)
日本の税制改革をめぐる攻防。写真は日本国会。(資料写真、AP通信)
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日本のメディア《FNN》によると、自民党の森山裕幹事長は8日、徳島市で開かれた自民党徳島県連大会に出席し、一部政党が主張する消費税の減税案について、「政府は慎重に慎重を重ねる姿勢で臨むべきだ」と述べた。あわせて「現時点で応じられる新たな財源は存在しない」と強調した。

森山氏は、「消費税をゼロにする案や、5%への引き下げを求める声があるが、いずれも歳入減をどのように補うのか明確な説明がなく、持続可能な制度として成立していない」と指摘。現在の厳しい財政状況を踏まえ、「軽率な減税は行うべきではなく、極めて慎重な判断が求められる」との認識を示した。

森山氏はまた、赤字国債を財源として減税を行うことに対して明確に反対の立場を示し、「現在は金利のある時代に入っており、財政収支のバランスを適切に考慮しなければ、日本国債の国際的な信用が失われる可能性がある。それは極めて深刻な事態を招きかねない」と警鐘を鳴らした。

一方、今後予定されている参議院選挙に向けては、参議院での与党の過半数維持の重要性を強調。「現在、衆議院では与党が少数となっているが、それでも予算案の成立や重要法案の審議が進められているのは、参議院で与党が過半数を確保しているからだ」と述べた。その上で、「今回の選挙で与党連合が参議院の過半数を失えば、政権運営に大きな支障が生じる可能性がある」と危機感を示した。

野党、減税主張を続々提案 インフレと物価圧力に対応

自民党が消費税減税に慎重な姿勢を示す中、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会、日本共産党などの野党各党は、2025年の参議院選挙に向けた主要な訴求点として、相次いで消費税減税に関する政策を打ち出している。

立憲民主党は4月25日に政策方針を発表し、2026年4月から1年間、食料品に対して消費税ゼロ税率を適用し、インフレ状況に応じて最大3か月間延長できる措置を講じるとした。その後は、低所得者層を支援する「給付付き税額控除制度」への移行を目指す方針だ。
同党代表の野田佳彦氏は、「今回の提案は単なる減税政策ではなく、期限を設けた上で財源を明確にし、社会保障制度の改革の一環として位置づけている」と説明。財源については、特別会計の剰余金や各種基金の運用益などを活用し、赤字国債に依存しない形で賄う考えを示している。

国民民主党は、現行の消費税率を一律で5%に引き下げることを主張しており、短期的な物価上昇への対抗策として位置づけている。日本維新の会も、食料品に対する2年間の消費税ゼロ税率を支持しているが、現時点ではその具体的な財源については明らかにしていない。日本共産党は、これまでの主張を踏襲し、消費税率を一律5%に引き下げたうえで、将来的には消費税の廃止を目指すと表明。代替財源として、富裕層への課税強化や企業の法人税率の引き上げなどを挙げている。 (関連記事: 自民党、訪日外国人の免税制度「全面廃止」を提言、年2000億円の税収損失に懸念 関連記事をもっと読む

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編集:柄澤南

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