トランプが語るマスクとの対立の経緯 「彼が私を支持するとは思わなかった」

2025-06-15 09:56
マスクとトランプの関係に和らぐ兆しが見える。(資料写真、AP通信)

米国のトランプ大統領は12日、過去の顧問である電動車業界の大物、イーロン・マスクを「友人」と「親しい仲間」と呼ぶ一方で、政府を去った後のマスクは「ちょっと変わった」と述べた。

トランプ大統領はカリフォルニアで電動車関連法案に署名した際、電動車推進政策に反対する立場ではマスクと意見が合わなかったと記者団に述べた。トランプによれば、テスラCEOのマスクは非常に率直だが、「些細なことで少し変わったようだ」と語った。

トランプ:「マスクが私を支援するとは驚き」

トランプ大統領は6月12日、議会の3つの決議に署名し、カリフォルニア州の電動車関連政策を正式に覆した。これには、2035年までに新車販売の80%を電動車とする環境保護局の免除命令の撤回や、ゼロ排出重機の割合を上げるカリフォルニアの政策をも取り消した。

3番目の決議は、カリフォルニア州の重機車両に対する低窒素酸化物排出規制の適用除外を発表するものだった。これにより、2035年までに燃料車販売を全面的に停止するカリフォルニアの計画を阻止することに成功した。

トランプは「マスクが私を支持するとはまったく予想外だった。強制的な電動車購入の規制を取り消そうとしているのだから」と述べた。

トランプはさらに、マスクが「みんなが従わざるを得ないならば、私は競争できる」と言ったことがあると語り、マスクは「最初から電動車の義務化を推進しないよう確保すべきと言うはず」との考えを示した。

マスクが投稿を削除し謝罪、トランプは「それでいい」

トランプは以前CNNに対し、マスクは「気が狂っている」と述べた。Xプラットフォームの責任者が自身のアカウントで、トランプ政権がエプスタインの文書を公開するのを遅らせたと主張していたためである。

その後、マスクは投稿を削除し、一連の発言について「トランプ大統領に関して行き過ぎた投稿についてお詫びします」と謝罪した。

トランプは「ニューヨーク・ポスト」に対し、「マスクの謝罪は良いことだ」と語った。

ロイター通信によれば、副大統領とホワイトハウス首席補佐官であるスージー・ウィールズは、マスクと電話で会談し、トランプとの緊張関係を早急に和らげるよう勧め、その後マスクはXプラットフォーム(改版されたツイッター)上で「トランプ大統領に関する投稿を後悔しています。行き過ぎた」とのコメントを発表した。

トランプの第2任期初期には、2人の関係が非常に親密であった。マスクは連邦政府の大規模な支出削減の総策定者に任命され、トランプはDOGE反対活動やテスラ車オーナーの抗議に際し、マスクを幾度も擁護してきた。

トランプ、マスクを幾度も支持

トランプは支持を示すために購入した赤いテスラをホワイトハウスの前に止め、スペースXのロケット打ち上げ成功を公に称賛した。2人はUFC(Ultimate Fighting Championship、終極格闘チャンピオンシップ)会場にも一緒に現れ、UFCのダナ・ホワイト総裁と共に観戦し、親密な私的関係を示した。

マスクがDOGEを去った後、「大きく美しい法案」と呼ばれたトランプの政策を公に批判し、「うんざりする法案だ」と直言したことで、2人の関係に転機が生まれた。この批判により、政治上の蜜月が正式に終わった。

責任編集:許詠翔

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