米中関係が緊張を続ける中、アメリカのトランプ大統領は5日の夜、中国の習近平国家主席と電話会議を行い、新たな交渉ラウンドを開始することを約束した。トランプ氏はこの通話を「非常に前向き」と評し、北京との良好な関係を強調。
これに続き米中両国は9日、英国ロンドンで新たな貿易交渉を行った。アメリカの商務長官ルース・ニック氏は、会談が「実り多い」と述べ、トランプ大統領もロンドンからの報告が「すべて良いニュース」と称賛した。
米中関係の緩和の兆しが見える中、さらに、両国が接近することで台湾企業の流出が進むのではとの懸念が高まっている。これに対し、前内政部長の李鴻源氏はオンライン番組《大大平評理》で、中米関係の不確実さが両岸関係にも影響を及ぼし、台湾のすべての企業の配置にも影響を与えると述べた。
李氏は、中米貿易戦争が長年続いている中で、今後の展開や新台湾ドルの上昇程度がどこまで進むかは予測不能であり、不確実な状況が続く中、すべての企業の台湾における配置に影響を与えると指摘。彼は、TSMCの移転についても、中米貿易戦争の氷山の一角に過ぎず、移転理由としてまずアメリカがTSMC移転をさせようとしていることを挙げ、更にアメリカに加えてドイツや日本の熊本にも工場を設立していると述べた。
李氏はまた、台湾が非核の政策を進める中で、電力の安定が失われ、価格が高く、炭素フットプリントが高いことが、2026年にEUが国境炭素税を課すことになり、産業界が影響を受け、撤退することになるだろうと強調。
李氏は、地政学的リスクがある中で、TSMC移転は低炭素電力が鍵であると述べた。昨年までの核電力がある時点で、低炭素電力が16.4%で世界132位に位置していたが、5月17日に核三工場が閉鎖された後、低炭素電力は約10%に減少し、台湾電力の電力が「汚い電力」と化していることを意味しており、1キロワット時の電力を売るたびに政府が5元を補う必要がある。「台湾電力は基本的に破産している」と述べた。
編集:佐野華美
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