台湾米が日本で急拡大 コメ不足の中で輸出量6倍増、「最も信頼できる輸入米」との声も

2025-06-12 16:40
台南の老舗・芳榮米廠が白米500トンを日本初出荷。「緣路はるばる」として5kg包装でスーパーに登場。日本の米専門家も「味は現地の好みに合致」と高評価。(台南市政府提供)

台湾産米の日本向け輸出が急拡大している。2025年1月から5月までの台湾米の対日輸出量は7,759トンに達し、前年同期比で6倍以上となった。農業部はこの勢いを受けて、年内には1万トン突破を目指す構えだ。

台湾産米はその芳醇な香りとモチモチとした食感から、台湾国内はもとより、日本でも徐々に支持を集めている。陳駿季農業部長は、輸出準備の最前線として新竹県湖口農会を視察し、日本向け輸出用米の出荷に立ち会った。同氏は「台湾米は単なる主食ではなく、台湾農業の誇りとレジリエンスの象徴」と語った。

台南の老舗・芳榮米廠が日本へ初出荷。契約栽培20年以上、品質管理の徹底で500トンの白米を輸出。(台南市政府提供)
台南の老舗・芳榮米廠が日本へ初出荷。契約栽培20年以上、品質管理の徹底で500トンの白米を輸出。(台南市政府提供)

こうした中、台南市後壁区にある老舗の芳榮米廠は、新たに500トンの白米を日本に初出荷。5月には記者会見が開催され、黄偉哲市長や日本の稲作専門商社「KURIYA株式会社」創業者・徳永真悟氏らが出席し、台南米の日本市場進出を祝福した。

芳榮米廠はすでに20年以上にわたって稲作契約栽培を行っており、100人近い農家と提携、300ヘクタールを超える栽培面積を管理している。収穫前には農薬残留検査を実施し、収穫後は低温保管によって鮮度と品質を保持。品質の安定性が評価され、今回の大口輸出が実現した。

台南の老舗・芳榮米廠が白米500トンを日本初出荷。「緣路はるばる」として5kg包装でスーパーに登場。現地の嗜好に合う味と高評価。(台南市政府提供)
台南の老舗・芳榮米廠が白米500トンを日本初出荷。「緣路はるばる」として5kg包装でスーパーに登場。日本の米専門家も「味は現地の好みに合致」と高評価。(台南市政府提供)

徳永氏は「実際に食味テストを行い、日本人の嗜好に合っていると確認できた。今後はさらに多くの台湾米を日本全国に届けたい」と語り、高い期待感を示した。今回出荷された台南11号の白米は、「縁路はるばる」の名称で、日本市場に馴染み深い5kg包装で店頭に並ぶ予定だ。

また、台北駐日経済文化代表処もSNS上で台湾米「縁路はるばる」を紹介し、「日本のお米とほぼ変わらない美味しさ」とアピール。これに対し日本の消費者からは「今台湾のお米を食べています。紹介された銘柄を見かけたらぜひ買いたい」「日本以外の米なら台湾米が一番信頼できる」など好意的なコメントが寄せられた。一方で「できる限り国産米を買いたい」といった声もあり、日本農業への配慮も見られた。

台湾農業部は、日本国内で国産米が不足気味な状況を背景に、台湾米の品質と供給力を武器に市場拡大を図っており、今後は小包装製品を中心に日本のスーパーマーケットなどでの展開を強化していく方針だ。今後は東南アジア、北米、豪州市場への進出も視野に入れている。

編集:梅木奈実