台湾政界で対立が続く中、民進党が国民党側の立法委員による不当な情報収集や公権力の乱用を批判する一方で、民進党所属の台北市議・簡舒培氏の行動にも疑問の声が上がっている。発端は、簡氏の事務所スタッフであるW姓の地方主任が今年3月上旬、大安区で違法駐車をして取り締まりを受けたこと。この違反切符の発行後わずか2日間で、簡氏の事務所は台北市警局に5件の情報請求を行い、3月中だけで計10件を要求していた。
請求内容は、2023年から2025年2月までの警察の取り締まりプロジェクトや清掃活動の回数、日時、告発件数、押収屋台の数、障害物撤去の詳細に加え、北市警局傘下の各派出所・警備隊・交通分隊が受けた市民からの通報内容や処理状況にまで及んだ。これにより、日常業務で多忙な基層の警察官たちからは「まるで警察をいじめているようだ」と不満の声が上がっている。

「情報収集ハイエナ」の正体? 2ヶ月で481件の「質疑」
簡氏は、台北市議会の教育文化部門に所属しており、警察や衛生分野とは直接の関係がない。それでも彼女の事務所は他議員と比べても異常な頻度で情報を要求しており、関係者の間では「情報収集のハイエナ」と揶揄されるほどだ。
報道によれば、第14期第5回大会の約2カ月間で、簡氏の事務所はすでに481件の情報請求を行っていた。これは1日平均で8件にも及び、2位の議員が300件、3位が280件超であることを踏まえると、突出した数字となっている。
また、請求される情報は年間単位での集計を求められるケースが多く、過去10年分の資料提出を求められた例もある。さらに、簡氏が所属する教育部門とは関係のない部署への請求がほとんどで、各部局の公務員たちは多忙な通常業務に加え、過去データの整理に追われる形となっている。
簡氏の事務所は連休前日に請求書を出し、休み明けには結果を求めるケースも多く、形式上は4日間の猶予があるように見えるが、実際に業務時間として使えるのは1日にも満たないという。こうした「無理筋」の情報請求により、現場職員の間では疲弊感が広がっている。

政治討論の素材に? 簡氏の情報収集に「公器私用」の懸念
議員の情報収集は、どこまでが市政の監督で、どこからが過剰なのか。桃園市議の黄敬平氏は、議員による情報収集の適切な頻度と質に言及。自身の6ヶ月の会期中、収集件数は50件以内で、すべて質疑応答に必要なテーマに限っていると述べた。2017年、鄭文燦氏が市長だった頃には、公用車の不適切な使用について追及。しかし当時、鄭市府側は情報提供を拒み、最終的にA4用紙1枚の回答しか出さなかったという。それでも黄氏は、それ以上の追及には踏み込まなかった。
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黄氏はまた、簡舒培氏が政治討論番組に頻繁に出演している点を挙げ、市政府から収集した情報を番組で取り上げている場面もあると指摘。その上で、もしも大量の情報請求がテレビ出演のネタ収集のためであるならば、市政府に不要な負担をかけるだけでなく、公的リソースの私的利用という問題にもなりかねないと警告した。