ロサンゼルスで抗議激化 煙幕弾と催涙弾が飛び交う中、トランプ氏が州兵派遣を命令

2025-06-10 09:51
2025年6月8日、ロサンゼルス大都市拘留センター付近で警官がソフト弾を発射した。(AP通信)
2025年6月8日、ロサンゼルス大都市拘留センター付近で警官がソフト弾を発射した。(AP通信)
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アメリカ連邦政府がロサンゼルスで実施した不法移民の拘束作戦を受けて、現地では激しい抗議活動が発生した。トランプ大統領は州政府の対応を「怠慢」と非難し、7日にはICE(移民・関税執行局)や連邦職員、連邦資産の保護を目的に、2,000人の州兵を派遣するよう命じた。しかし、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事はこの措置を「違法」と批判している。
8日にはロサンゼルス市内でさらに大規模な衝突が発生し、市中心部は「違法集会区域」に指定され、高速道路の一部が封鎖された。街頭には炎上する車両や警察の発煙弾が確認されるなど、混乱が広がっている。アメリカ西海岸最大の都市で、いったい何が起きているのか――。

カリフォルニア州でのデモ参加者と米移民・関税執行局(ICE)の連邦職員との衝突が2日間続いたことを受け、トランプ大統領は少なくとも2,000人の州兵をロサンゼルスに派遣するよう命じた。先発部隊は8日午前にすでに市内に到着している。トランプ氏は民主党所属のギャビン・ニューサム州知事とカレン・バス・ロサンゼルス市長を「無能だ」と強く非難。これに対し、ニューサム知事は「州兵の派遣は意図的な扇動だ」と批判し、バス市長は「現在、法執行機関と緊密に連携し、最善の対応策を検討している」と述べた。ニューサム知事の事務所は8日午後、正式にトランプ政権に対して部隊派遣命令の撤回を求める書簡を提出した。

2025年6月8日、ロサンゼルス大都市拘留センター近くで、1台のWaymoタクシーが焼かれた。(美聯社)
2025年6月8日、ロサンゼルス大都市拘留センター近くで、1台のWaymoタクシーが焼かれた。(AP通信)
2025年6月7日、カリフォルニア州知事ニューサム(Gavin Newsom)とロサンゼルス市長バス(Karen Bass)がロサンゼルス市民の保護方法を議論している。(翻攝X)
2025年6月7日、カリフォルニア州知事ニューサム(Gavin Newsom)とロサンゼルス市長バス(Karen Bass)がロサンゼルス市民の保護方法を議論している。(Xより転載)

1965年以来初めて、州知事を無視して、大統領が直接州の州兵を動員し、法を執行するまたは騒乱を鎮める事態が発生した。このような措置は、州政府や地方官の厳しい非難を招き、ニューサム知事は「実際の問題を解決するためではなく、意図的に危機を作り出すもの」と非難した。トランプの国境問題担当のホーマン(Tom Homan)氏は、7日NBCニュース取材に対し「ロサンゼルスでの移民取り締まりは今後も継続する」と述べ、必要であればニューサム州知事やバス市長といった地元当局者が「法執行を妨害した場合、逮捕もあり得る」との見方を示した。トランプ氏も8日、報道陣に対し「法と秩序を守るために必要なあらゆる手段を講じる」と語った。 (関連記事: ロサンゼルス現場レポート:数千ヘクタールの高級住宅地が廃墟と化し、12時間燃え続ける消火困難な大火災 関連記事をもっと読む

デモ活動はどのように始まったか?

トランプ政権は職場での不法移民に対する取り締まりを強化しており、6月6日には迷彩服を着た連邦捜査官がロサンゼルスのファッション商業地区で無許可滞在の移民を摘発する突襲作戦を実施した。この急襲により、現地の労働者に動揺が広がり、抗議者と法執行機関との間で衝突が発生した。抗議者たちはスローガンを叫び、卵を投げるなどして抵抗。一方で、執行側は催涙ガス、スタングレネード(閃光弾)、ゴム弾などの非致死性の鎮圧用兵器を使用した。この衝突がさらなる市民の抗議参加を呼び起こした。翌7日には、ロサンゼルス市中心部から南へ約25キロに位置するロサンゼルス郡内のパラマウント(Paramount)で、連邦捜査官らが工業団地に集結しているのを見た住民が、周辺の道路を封鎖しようと動き出し、現場は連邦当局と数百人の住民がにらみ合う事態へと発展した。

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