アメリカ財務省は6月5日、米議会に向けて「主要貿易相手国のマクロ経済・為替政策に関する半期報告書」を提出した。報告書では、台湾、中国、日本、韓国、シンガポール、ベトナム、ドイツ、アイルランド、スイスの9つの経済体を、引き続き「為替操作監視リスト」に掲載すると発表している。
財務省は、これらの国や地域が直ちに為替操作を行っているとは認めていないが、過去の為替介入や経常黒字の規模、対米貿易黒字の水準などを踏まえて、今後も通貨とマクロ経済政策を注視していく方針を示した。
アメリカ財務省は6日、告知の中で、長年にわたって続いてきた不公正な通貨政策が、国内の貿易赤字を拡大させ、製造業の雇用機会を奪ってきたと強調。報告書は、1988年の「包括通商・競争力法」に基づき、2024年12月までの直近4四半期を分析したもので、いずれの国も通貨を意図的に操作して国際的な競争優位を得ようとしているとは判断していない。
ただし、財務省は「為替介入や非市場的な政策を通じた通貨安誘導が、米経済の回復を妨げる可能性がある」とし、監視を強化していく考えを示した。スコット・ベッセント財務長官は、「米国はもはや構造的な貿易赤字や不均衡な経済政策を容認しない。今後は為替操作の分析をさらに強化し、必要に応じて制裁措置も検討する」とコメントしている。
また、報告書によれば、日本、韓国、台湾、ベトナム、ドイツ、アイルランド、スイスの7つの経済体は、「重大な二国間貿易黒字」と「実質的な経常黒字」の2つの基準を満たしている。シンガポールについては、「持続的かつ一方的な為替介入」と「経常黒字」の基準を満たしていると指摘されている。
台湾に関しては、為替介入に関するデータの開示が3カ月遅れている点、また非銀行系金融部門における為替リスクの管理が不十分であることが課題とされた。報告書では、為替介入を抑制し、通貨の動きが経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映するようにすべきだとされている。
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