台湾・民進党の創設メンバーであり、元立法委員の林正杰氏が6月3日に亡くなった。享年73歳。世新大学社会発展研究所の教授・黄徳北氏がFacebookで哀悼の意を示すなど、政界からは追悼の声が相次いでいる。
林氏は、党外運動に積極的に関わり、気骨ある行動派として「街頭の小覇王」と呼ばれてきた。2025年1月には民衆党が主催した集会「緑の威権に反対し、司法の正義を返せ」で演説を行い、検察への強い批判の中で「検察が説明できないなら、地検署を火事にして焼き払え」と発言し、大きな話題を呼んだ。
林氏の政治活動は1970年代、国民党員として始まる。1979年の美麗島事件当時は軍務についていたが、除隊後すぐに党外運動へ身を投じた。1981年には台北市議会議員に初当選し、陳水扁氏や謝長廷氏と共に「党外の三剣客」と呼ばれた。その頃から、国民党の趙少康氏らと激しい議論を繰り広げていた。
1988年には民進党に加入したが、1991年に党が台湾独立を掲げる綱領を採択すると、「再び党外でありたい」として離党を決意。「民進党以外の、最も民進党に同情する人間でいたい」と語っていた。
その後、2005年9月には中国統一を掲げる「中華統一促進党」の主席に就任。同党の総裁は「白狼」の異名を持つ張安楽氏だった。2011年には国民党籍への復帰を申請するも、無所属で立法委員選に出馬したことで党籍を剥奪。2016年、洪秀柱氏が国民党主席に当選した際には支持を表明し、後援会を立ち上げたが、2019年7月には再び国民党を離れた。
一貫して権力に物申す姿勢を貫いてきた林氏。その波乱に満ちた政治人生は、多くの人の記憶に残り続けるだろう。
編集:田中佳奈
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