北海道では5月中旬以降、震度4以上の地震が相次いで発生している。6月2日未明には十勝沖を震源とするマグニチュード6.3の地震が発生し、大樹町や浦幌町で震度4の揺れを観測した。さらに16分後には同じ震源付近でマグニチュード4.7の地震も発生し、わずか1週間の間に4回以上の震度4クラスの地震が観測された。
気象庁によると、6月2日の地震は太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生したもので、5月15日以降、十勝中部、浦河沖、十勝南部、釧路沖など広範囲にわたり地震が続いている。
広範囲に及ぶ地震 関連性は低いとの見方も
一連の地震は、太平洋プレートと陸のプレートの境界付近で発生しており、震源地は十勝地方中部、浦河沖、十勝地方南部、釧路沖、十勝沖と多岐にわたる。気象庁や専門家によれば、これらの地震はそれぞれ直接的な関連性はなく、他の地震を誘発する規模でもないとみられている。
北海道大学地震火山研究観測センターの高橋浩晃教授は「震度4の地震が数回起こるのは過去にもあり、特段珍しい現象ではない」としたうえで、「太平洋側沿岸では、いつ大きな地震が起きてもおかしくない状態が続いている」と警戒を呼びかけている。
巨大地震の想定被害と防災の重要性
千島海溝沿いでは、今後30年以内にマグニチュード9クラスの巨大地震が発生する確率が7〜40%とされており、最大で26.5メートルの津波が予想される。最悪の場合、死者は10万人を超える可能性もある。2003年には十勝沖でマグニチュード8.0の地震が発生し、最大震度6弱を観測した。今回の一連の地震も同様の震源域で発生しており、気象庁は「いつ大きな地震が起きてもおかしくない」として注意を促す。
また、日本海側でも巨大地震のリスクが指摘されており、北海道が初めて公表した被害想定によれば、真冬の深夜に発生した場合、最大約7,500人が犠牲となり、建物の倒壊は1万6,000棟に上るとされている。津波の到達時間も数分と早く、避難が困難になる恐れがある。
地震への備えを呼びかけ
地震が続く中、住民からは「何かの前触れではないか」「子どもがいるので心配だ」といった声が上がっており、防災用品の見直しや避難経路の確認など、自主的な備えを進める動きも見られる。
気象庁や専門家は「地震の予知は不可能であり、前兆がないまま突然発生することが多い」として、日常的な備えの重要性を訴えている。具体的には、家具の固定、水や食料の備蓄、津波避難経路の確認などが挙げられる。
特に千島海溝や日本海溝でマグニチュード7.0以上の地震が発生した場合、気象庁は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表し、巨大地震への警戒を促す。この情報が発表された際には、日常生活を維持しつつも、すぐに避難できる準備が求められる。
日頃からの備えが命を守る
北海道や各自治体では、防災訓練や情報発信を強化しており、住民参加型の訓練や防災ラジオの配布も行っている。高橋教授は「避難開始の時間が早ければ、それだけ助かる確率も高くなる。備えこそが命を守る鍵だ」と話している。
道内では地震活動が続いているが、過度な不安に陥ることなく、冷静に日頃の備えを見直すことが重要だ。気象庁や自治体の発信する情報をこまめに確認し、有事に備えておきたい。
編集:梅木奈実 (関連記事: 7月5日の大地震が日本と台湾を壊滅させる?チェックセンターが科学で「終末予言」を検証 | 関連記事をもっと読む )
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