トランプ氏、渡航禁止令を再開 19カ国に入国制限

2025-06-05 13:11
アメリカのドナルド・トランプ大統領は6月4日の深夜に公式に行政命令を署名し、彼の最初の任期での「渡航禁止令」政策を再開し大幅に拡大することを発表した。(資料写真、AP通信)
アメリカのドナルド・トランプ大統領は6月4日の深夜に公式に行政命令を署名し、彼の最初の任期での「渡航禁止令」政策を再開し大幅に拡大することを発表した。(資料写真、AP通信)
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アメリカのドナルド・トランプ大統領は6月4日深夜に行政令を正式に署名し、彼の第1期政権の「旅行禁止令」政策を再始動し、大幅に拡大することを決定した。新版の禁止令では、12カ国からの市民のアメリカ入国を禁止し、7カ国に対してより厳しい入国制限を設ける。

トランプが署名した最新の公告によると、完全にアメリカ入国を禁止される12カ国は以下の通りである: アフガニスタン、ミャンマー、チャド、コンゴ共和国、赤道ギニア、エリトリア、ハイチ、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメン。

上述の完全禁止国以外にも、ブルンジ、キューバ、ラオス、シエラレオーネ、トーゴ、トルクメニスタン、ベネズエラの7カ国からの訪問者も、より厳格な入国審査と制限措置に直面することになる。

新たな禁止令が6月9日に正式施行

新たな渡航禁止令が、6月9日午前0時1分に正式に施行される。トランプ氏は発表の中で、「米国および国民の国家安全保障と国益を守るため、行動を起こさざるを得なかった」と強調した。

この決定は、同氏が1月20日の大統領就任日に発令した大統領令に基づくもの。大統領令では、敵対的な姿勢を示す国々について、国務省、国土安全保障省、国家情報長官室に対し詳細な評価報告の提出を指示。そのうえで、特定の国の国民の入国が米国の国家安全保障に潜在的な脅威をもたらすかどうかを分析するよう求めていた。

トランプは2017年から2021年の第1期政権内で、2017年1月27日に初めて旅行禁止令の行政命令を発表し、当時はイラク、シリア、イラン、スーダン、リビア、ソマリア、イエメンの7カ国からの市民のアメリカ入国を禁止した。

初期の禁令の実施は広範な混乱を巻き起こし、影響を受けた国からの旅行者はアメリカへの搭乗を禁止されたり、アメリカの空港に到着後に拘束されたりした。直接的な影響を受けた人々には、有効なビザを持つ学生、大学教職員、ビジネス関係者、観光客、そしてアメリカを訪れる親類訪問者が含まれていた。

法的な異議申し立てと最高裁の判断

当初の渡航禁止令は「ムスリム禁止令」と広く批判され、激しい議論と法的な異議申し立てを招いた。その後、複数回の訴訟と政策修正を経て、2018年に米国連邦最高裁判所は5対4の判断で、トランプ政権の渡航禁止令は合憲との判決を下した。

最終的に施行された第1期の渡航禁止令は、主にイラン、ソマリア、イエメン、シリア、リビアからの旅行者および移民申請者に影響を及ぼすものであった。また、北朝鮮の市民や、ベネズエラ政府の一部高官とその家族も対象に含まれていた。

トランプ政権およびその支持者は一貫してこの政策を擁護し、「国家安全保障上の措置であり、米国本土と国民の安全を守ることが目的で、宗教や人種的な偏見に基づくものではない」と主張している。

国土安全保障省の担当者は、新たな禁止令は包括的な安全評価に基づいて策定されたと説明。関係各機関が対象国の安全リスク、協力体制、情報共有の能力などを詳細に分析した結果だとしている。

国際的な反応と影響の見通し

新たな渡航禁止令は、トランプ政権第1期のものと比べて対象が大幅に拡大され、中東・アフリカの一部に限られていた従来の範囲から、計19カ国にまで広がった。これにより、国際的な旅行、ビジネス、学術交流、家族の再会など多方面で大きな影響が及ぶと見られている。

対象国の政府からは現時点で正式な反応は出ていないが、今後、外交的な懸念や新たな法的措置が発生する可能性もある。人権団体や移民支援団体は、新禁令の具体的な運用や人道的影響を注視している。

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