7月5日の大地震が日本と台湾を壊滅させる?チェックセンターが科学で「終末予言」を検証

2025-06-03 19:13
今年3月からSNSで「大地震予言」が広まり、台湾ファクトチェックセンターがこれを否定した。地震のイメージ図。(AP通信)
今年3月からSNSで「大地震予言」が広まり、台湾ファクトチェックセンターがこれを否定した。地震のイメージ図。(AP通信)
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今年3月頃から、SNSのThreadsやTikTok上で「2025年7月5日に日本で大地震が起きる」という予言が台湾を中心に拡散し、台湾や香港などで社会的な恐慌を呼んでいる。台湾事実查核中心(ファクトチェックセンター)によれば、この噂の発端は、日本の漫画家・龍樹諒氏の作品『私の見た未来:完全版』にあるという。過去に同氏の描いた予言がいくつか現実になったとされることから注目が集まり、大ヒット作となっている。チェックセンターは、噂の拡散ルートを分析しながら、多くの情報に科学的根拠がないことを指摘している。

​龍樹氏の地震予言は当初、幻想や怪談、都市伝説を好む一部の層に限って流通していた。しかし、同氏が過去にいくつかの歴史的出来事を“的中させた”と話題になったことで、影響は次第に広がっていく。NHKの報道によれば、2023年ごろからこの予言が一般市民の議論に入りはじめ、2025年3月から4月にかけては、日本国内のYouTubeやTikTokでも大量に拡散され、一躍「誰もが知る予言」となった。

噂はどのように拡散したのか?

​台湾事実查核中心の調査では、台湾で都市伝説を扱うインフルエンサーがこの噂の拡散に加わったことが確認されている。さらに、中国語版の漫画も出版されたことで、龍樹氏の予言が台湾の多くの人々の目に触れるようになった。2024年中頃から、台湾でよく使われるSNS(Threads、Facebook、TikTokなど)で噂が広まり始め、2024年3月以降はその数が急増。台湾国内のメディアでも数多く取り上げられるようになった。

​事実查核中心のLINEチャットボットには、2024年6月頃から関連する噂が送られ始めており、今年2月から急増、4月から5月にかけてはピークを迎えた。これは「本当に大地震が来るのではないか」という人々の不安の高まりを映している。TikTokで流行している動画の多くは、YouTuberの老高氏が投稿した映像をショート動画に再編集し、さらに恐怖をあおる言葉を加えて再拡散したものだった。中にはAI生成の映像もあり、架空のストーリーとナレーションで「終末の恐怖」を演出していた。 (関連記事: 「7月5日、日本で大地震」予言SNSで拡散 台湾・香港で訪日控える動きも 関連記事をもっと読む

​​地震予言に科学的根拠があるか?

地震に詳しい科学ライター・潘昌志氏によれば、漫画内で描かれている災害の発生場所は「日本とフィリピンの間の海域」で、海底が破裂して巨大な津波が発生するという設定になっている。ただし、実際に地震が起こりやすいのは断層やプレートの境界、つまり海溝やトラフといった場所である。過去の記録から見ても、フィリピン海プレートの中間部分で大地震が起きたという科学的証拠は存在しない。仮に海底の地殻が大きく破断するような事態が起きるなら、その前には必ず前兆があるはずで、火山活動などの兆候も見られることになる。大規模な海底プレートの破断が突発的に起きることは、基本的に考えにくいという。

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