石破茂氏、「李登輝氏は日本を最も理解している」と講演 日台中関係の複雑化を強調

日本台湾親善協会主催の「時局演講会」で、3日に前首相・石破茂氏が「戦後80周年」をテーマに講演(黄信維撮影)
日本台湾親善協会主催の「時局演講会」で、3日に前首相・石破茂氏が「戦後80周年」をテーマに講演(黄信維撮影)

日本台湾親善協会主催の「時局演講会」で、元首相の石破茂氏が「戦後80周年」をテーマに講演を行い、終盤には自身と台湾の交流経験について10分以上語った。内容は、昭和時代の初来台、李登輝氏や陳水扁氏との接触、台湾の軍事演習の視察、アジアの戦争史と平和構築への考えを含む。

日本台湾親善協会は、前衆議院副議長の衛藤征士郎氏が会長を務める台湾友好団体で、長年にわたり日本の政界における日台交流を推進している。中華民国留日東京華僑総会の会長の彭勻孝氏、中華民国留日東京華僑総会の名誉会長の朱恭亮氏、日本台湾親善協会の副会長の張建国氏が出席。駐日代表の李逸洋氏は欠席したものの、会場に花籠を贈呈した。

20251203-日本台湾親善協会主催の「時局演講会」に元首相の石破茂氏を招待し、「戦後80周年」をテーマに講演が行われた。駐日代表処代表李逸洋氏が花籠を贈る。(黄信維撮影)
駐日代表処の李逸洋代表は会場に花籠を贈った。(黄信維撮影)

1987年の初訪台を回想 石破氏「李登輝氏こそ日本を最も理解する人物」

石破氏は、自身がこれまでに約14回台湾を訪問したことを述べ、最初は昭和62年(1987年)に自民党青年局のメンバーとして訪台し、その際まだ戒厳令が続いていたことを振り返った。彼は、当時副総統であった李登輝氏を訪問した際、流暢な日本語での会話を交わし、当月の『中央公論』を引用して時事問題を討論したことから、李氏の日本研究の深さに感銘を受けたと語った。そして、「本当に日本を最も理解し、我慢の意味を考えられる人は李登輝先生だ」と述べた。

続いて陳水扁政権時代について語り、石破氏は防衛業務を務めていた期間中、台湾側の招請で訪台し、陳水扁総統と1時間の会談を行い、その夜に三軍参謀長との夕食会に参加したことを明らかにした。翌日、台湾の大規模な年次軍事演習を視察し、高速道路を戦闘機の滑走路とする演習を見学したと述べた。石破氏は、「日本の高速道路にはそのような設計はない」と指摘し、この演習から台湾が戦争回避に向けた深い備えをしている現実を理解すべきだと強調した。

石破茂、日本に歴史を無視しないよう訴え

石破氏は、1945年5月31日の「台北大空襲」で3千人が亡くなり、台南や基隆などの都市も米軍によって爆撃されたことを言及し、日本が戦後80年を振り返る際に台湾の戦争被害を無視してはならないと主張。また、1942年の台湾志願兵制度について、募集定員が千人に対して42万6千人が応募し、最終的に1020人が採用されたことをふれ、その中で高砂族部隊が勇ましい戦歴を残していることを述べた。

演講中、彼はまた現在の国際情勢にも触れ、「日本・台湾・中国の関係は最近の様々な情勢からより複雑で微妙になっているが、今日その話題に深入りするつもりはない」と述べた。

石破氏はまた、防衛庁長官として香格里拉対話に参加した際、李光耀総理から日本がシンガポール戦時に行ったことを真に理解すべきで、そうでなければ「アジアの平和を語る資格はない」と厳しく求められたと述べた。この経験により、彼自身が恥ずべき思いを抱き、その後インドネシア・マレーシア・フィリピンへの出訪時には日本の歴史的文脈をできる限り研究するよう心掛けたと語った。

また、今年8月6日、9日に広島、長崎の原爆記念日の演説を自分で執筆し、NPT枠組みの下で、核抑止と核軍縮の両方を推進すべきだと主張した。戦後80年を考える今、日本はアジア近隣国との歴史の絡みをより理解し、今後も地域の平和を維持するための知識を育む必要があると述べた。

編集:佐野華美

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