第26回東京フィルメックス、各賞決定　最優秀作品賞は『サボテンの実』　観客賞は『左利きの少女』

第26回東京フィルメックスの授賞式が11月29日（土）、都内で行われ、コンペティション部門を中心とした各賞の結果が発表された。最優秀作品賞には、ローハン・パラシュラム・カナワデ監督の『サボテンの実』（Cactus Pears）が選ばれた。審査員は「抑圧と宗教的厳格さに特徴づけられる社会のなかで、二人の青年が距離を縮めていく姿を繊細に描き、その静かなささやきが自由への力強い叫びへと昇華している」と評価した。

審査員特別賞は内山拓也監督の『しびれ』（NUMB）が受賞した。審査講評では「沈黙と家庭内暴力の中で呼吸する人生を描きながらも、身体の動きから独特の温もりを引き出した」と述べられ、荒削りでありながらも強い情感を持つ作品として評価された。

スペシャル・メンションには、アレクサンドレ・コベリゼ監督『枯れ葉』（Dry Leaf）が選出された。審査員は「独創的な視点、詩的な映像言語、瞑想的ともいえる語り口によって、映画がもつ純粋な魅力を提示している」と評した。

観客賞には、ツォウ・シーチン監督の『左利きの少女』（Left-Handed Girl）が選ばれた。上映時に来場した観客の投票によって決定したもので、幅広い支持を集めた。

また学生審査員賞も『枯れ葉』が受賞し、「Lo-Fiな映像から形や色が立ち上がる美しさがあり、その中に存在する人、動物、車が奥行きを感じさせる」と学生審査員が講評を述べた。

タレンツ・トーキョー・アワード2025には、グレン・バリット監督（フィリピン）の『Luzonensis and Floresiensis.』が選ばれた。審査員は「移民、アイデンティティ、ポストコロニアルの歴史といったテーマに真摯に向き合い、温かさとユーモアを備えた創造性が際立っている」と評価した。加えて、チェン・ジェンハン監督『Square Horizons - A House Across Borders』、サム・マナクサ監督『The Void is Immense in Idle Hours』、くわやま あつし監督『Home-work』にスペシャル・メンションが贈られた。

授賞式の詳細レポートや受賞者コメントは後日公開される予定で、映画祭は今年も数々の多彩な作品と多面的な視点が交差する場として熱気に包まれた。

編集：小田菜々香 （関連記事： 第26回東京フィルメックス、上映スケジュールと登壇ゲスト情報を公開　Q&A日程やプレイベントの詳細も明らかに ｜ 関連記事をもっと読む ）

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