「今日ウクライナ、明日は台湾」!? 習近平氏、トランプ氏に倣い和談で台湾問題の解決を模索か―『ブルームバーグ』

2022年10月4日、装甲車に座るウクライナ兵士(写真/AP通信提供)
2022年10月4日、装甲車に座るウクライナ兵士(写真/AP通信提供)
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世界がドナルド・トランプ氏の「ロシア・ウクライナ戦争の後始末」に注目するなか、中国の習近平国家主席は、ワシントンが打ち出した「ロシア・ウクライナ和平案」とされる内容を細部まで読み込んでいる。

北京が知りたいのはただ一つ――合意を取り付けるために、アメリカがモスクワにどこまで譲歩するつもりなのか、という点だ。

米メディア《ブルームバーグ》は12月1日、コラムニストのカリシュマ・ヴァスワニ氏の論考「中国は台湾に対して“ウクライナ方式”の計画を準備しているのか?」を掲載した。ヴァスワニ氏によれば、トランプ氏が提示した28項目の和平案は、ウクライナとロシアが強く反応しているだけでなく、地球の反対側にいる中国政府こそ最も神経を尖らせているという。習近平国家主席が知りたいのは、アメリカの手札と譲歩の限界であり、むしろこの局面を「台湾統一」実現の追い風にしたいと考えている可能性がある。ワシントンの支援姿勢が曖昧になればなるほど、習氏の意図はより鮮明になるからだ。

さらに、オーストラリアの退役少将で軍事戦略家として知られるミック・ライアン氏は踏み込んだ見方を示す。中国はこの機を捉え、トランプ政権に「台湾向けの和平案」を提示する可能性が高いというのだ。ライアン氏は「習近平氏の第一選択は一貫して『戦わずして屈服させる』ことであり、中国共産党が中期的なタイミングで、秘密外交でも公的な場でも『台湾版28項目案』を持ちかけることは十分あり得る」と分析する。

もしトランプ氏がウクライナ情勢から手を引くためにロシアの領土拡張を事実上認めるような姿勢を示せば、北京はより強い自信を持つだろう。すなわち、アメリカは「大きな取引」のためなら台湾問題でも同様の妥協をする――そう信じる可能性が高まるのである。

今日のウクライナ、明日の東アジア?

「今日のウクライナは、明日の東アジアだ」――これは日本の岸田文雄前首相が2022年に発した警句だが、3年後の今、その言葉はもはや単なる比喩ではなく、現実化しつつある地政学的状況、さらには台湾の行方を先取りする“予告編”のようにも響いている。ヴァスワニ氏は、習近平国家主席が、ドナルド・トランプ氏の「ロシア・ウクライナ戦争を早く終わらせたい」という焦りを逆手に取り、台湾統一のタイムラインと戦略を再調整していると指摘する。

ヴァスワニ氏によれば、習近平氏が描く台湾統一の基本論理は、すでに2022年に北京が公表した白書「台湾問題と新時代の中国統一事業」に明確に記されている。そこでは、台湾は中国の一部であること、いかなる国際的な介入も受け入れないこと、そして統一を「中華民族の偉大な復興」に不可欠な要素と位置づけている。
さらに、常に台湾の頭上に垂れ下がる決定的な一文――「武力行使を放棄するとは約束しない」――も改めて示されていた。 (関連記事: 揭仲コラム:中国共産党、台湾海峡で法的戦を静かに強化 関連記事をもっと読む

トランプ氏・習氏との通話の明示と暗黙/無視

11月24日、ドナルド・トランプ氏と中国の習近平国家主席が、1時間にわたって電話会談を行った。今回の通話は、極めてデリケートな局面で行われた。というのも、日本の高市早苗新首相が国会で「台湾有事は日本の存立危機事態に該当し、自衛隊は集団的自衛権を行使できる」と明言し、中日関係が急速に冷え込み、貿易摩擦も高まっていたためだ。トランプ氏は会談後、自身のSNSでこの通話に触れたものの「台湾」には一切言及しなかった。一方、中国外交部が発表した声明では、習近平氏が台湾問題で強硬姿勢を示した点が大きく取り上げられ、習氏はトランプ氏に「台湾の中国への回帰は、戦後の国際秩序を構成する重要な要素だ」と強調した。

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