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グーグル台頭でエヌビディアの覇権は揺らぐのか?ジャーナリストが読む市場の変調「AIバブルかどうか」はもはや論点ではない ジャーナリストの陳鳳馨氏は、Googleの親会社であるアルファベットの台頭により、エヌビディア(写真)が完全に取って代わられることはないが、市場シェアが侵食される可能性があると指摘する。(写真/エヌビディアのソーシャルメディアプラットフォームXより)
Googleの親会社アルファベット (Alphabet) がAI分野で存在感を一気に高めるなか、投資家の間ではエヌビディア (NVIDIA) の「AI覇権」が揺らぐのではないかとの警戒感が強まり、同社株は下落基調となっている。こうした状況について、ジャーナリストの陳鳳馨氏はネット番組「東南西北龍鳳配」で、市場は今、極度に神経質になっていると指摘したうえで、エヌビディアの売掛金や在庫の増加は現時点では十分に説明可能な範囲であり、まだ警戒ラインには達していないとの見方を示した。また、Googleの最新モデル「Gemini 3」がOpenAIのユーザーベースを脅かし、その過程でエヌビディアのシェアにも影響を及ぼす可能性があると分析した。
陳氏によれば、エヌビディアが19日の取引終了後に決算を発表した際、アジア市場は一時的に盛り上がりをみせ、時間外取引では株価が5%急騰した。多くのメディアが「エヌビディアの黄仁勳(ジェンスン・フアン)氏がAIバブル論を一蹴した」と報じたが、翌20日には結局3%安で引け、株価が連日下落したことで、「エヌビディアがAIバブル論を否定した」と主張していた側が逆に否定される結果となった。
陳鳳馨氏はまた、米国の一部報道で「ワシントンがエヌビディアのH200チップを中国向けに販売することを協議している」と伝えられている点にも言及した。H200は2022年に登場した第7世代の製品で、現在はすでに第8世代のBlackwellが中核となり、Blackwellシリーズは「300番台」へと進んでいる段階だという。そのため、 中国側がいまさらH200を購入するかどうかには大きな疑問があるとし、この「表面的な好材料」があってもエヌビディア株が下落した背景には、こうした実情があると分析した。
エヌビディアの黄仁勳(ジェンスン・フアン)CEOは、これまでAIバブル論を強く否定してきた。(写真/AP通信社提供)
著名投資家が相次ぎ売りに転じ、エヌビディアに市場の警戒高まる また、在庫回転日数は今年第1四半期の55日から、第2四半期には91日、第3四半期には103日と、AI時代に入って以降で最も長い水準に達した。この増加要因については複数の見方があり、将来的な大量販売を見据えて原材料や半製品を積み増しているとする説もあれば、エヌビディアが多数のスタートアップを支援しているため、チップの納品前段階に在庫が積み上がっているとの指摘もある。陳氏は、在庫の積み上がりは確かに「トレンドとして増加傾向にある」が、現時点ではまだ警戒ラインには達しておらず、「極めて危険な状況とは言えない」との見方を示した。
陳鳳馨氏は、市場がエヌビディアに対して厳しい目を向けている背景には、著名投資家の大量売却が相次いだことがあると説明する。シリコンバレーの伝説的ベンチャーキャピタリストがエヌビディア株を全て売却したほか、ソフトバンクも保有株を手放したことで、市場全体が強い警戒感を抱き始めたという。
さらに、META、オラクル、アマゾンといった主要テック企業は、9月以降だけで900億ドル規模の社債を発行しており、その一方でフリーキャッシュフローは急速に減少している。なかでも最も危ういのはオラクルだと陳氏は指摘する。同社の業績は他の大手に比べて弱く、オラクルのCDS(信用リスクを示す指標)が上昇し続けていることは、市場が「最も脆弱な企業から先に不安を抱き始めた」シグナルだという。
「Gemini 3」がテック業界を席巻 エヌビディアのシェアに試練 陳鳳馨氏は、Googleのピチャイ(Pichai) CEOが「もしAIバブルが崩壊すれば、Googleを含め逃れられる企業は一つもない」と警鐘を鳴らしている点に言及する。Googleの社内試算によれば、AIサービス需要を満たすためには計算能力を半年ごとに倍増させる必要があり、その投資規模は極めて大きいという。そのためGoogleは、過剰投資によってバブル崩壊を招きかねない一方で、AI軍拡競争に乗り遅れれば一気に後れを取るというジレンマに直面していると分析する。
陳氏はさらに、Gemini 3がここ数日、世界のテック業界で大きな話題となっていることを指摘する。潤沢な資金力と巨大なエコシステムを持つGoogleは、最終的にOpenAIのユーザー基盤を脅かす存在になり得るという。Gemini 3はGoogle自前のTPUのみで稼働しており、TPUはエヌビディアのGPUに比べてコストが約3割に抑えられ、消費電力も小さく効率が高いとされる。エヌビディアのGPUを完全に代替するわけではないものの、中長期的にはエヌビディアの市場シェアを侵食していく要因になるとみている。
陳鳳馨氏は、アルファベットが攻勢を強めたことで、OpenAIを中心とする関連企業が一斉に打撃を受け始めていると指摘する。OpenAIは今後、資金調達や投資の面で逆風が強まる可能性があり、一方でエヌビディアは完全に代替されることはないものの、市場シェアを削られていく展開は避けがたいという。 現在、エヌビディア株が下落し、アルファベット株が上昇を続けている状況は、市場が改めて「勝ち組」と「負け組」を選別しているプロセスだとみる。CNNの「恐怖・強欲指数」はすでに極端な恐怖水準に達しており、理論上は反発が出やすい局面にある。実際、24日の米株市場は反発したが、これは行き過ぎた恐怖の反動にすぎないと分析する。 陳氏は、いま人工知能分野で問われているのは「AIがバブルかどうか」ではなく、「誰がバブルとしてはじけ、誰が将来の勝者として残るのか」という点だと締めくくる。
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