グーグル台頭でエヌビディアの覇権は揺らぐのか?ジャーナリストが読む市場の変調「AIバブルかどうか」はもはや論点ではない

2025-12-01 15:15
ジャーナリストの陳鳳馨氏は、Googleの親会社であるアルファベットの台頭により、エヌビディア(写真)が完全に取って代わられることはないが、市場シェアが侵食される可能性があると指摘する。(写真/エヌビディアのソーシャルメディアプラットフォームXより)
ジャーナリストの陳鳳馨氏は、Googleの親会社であるアルファベットの台頭により、エヌビディア(写真)が完全に取って代わられることはないが、市場シェアが侵食される可能性があると指摘する。(写真/エヌビディアのソーシャルメディアプラットフォームXより)

Googleの親会社アルファベットAlphabet)がAI分野で存在感を一気に高めるなか、投資家の間ではエヌビディアNVIDIA)の「AI覇権」が揺らぐのではないかとの警戒感が強まり、同社株は下落基調となっている。こうした状況について、ジャーナリストの陳鳳馨氏はネット番組「東南西北龍鳳配」で、市場は今、極度に神経質になっていると指摘したうえで、エヌビディアの売掛金や在庫の増加は現時点では十分に説明可能な範囲であり、まだ警戒ラインには達していないとの見方を示した。また、Googleの最新モデル「Gemini 3」がOpenAIのユーザーベースを脅かし、その過程でエヌビディアのシェアにも影響を及ぼす可能性があると分析した。

陳氏によれば、エヌビディアが19日の取引終了後に決算を発表した際、アジア市場は一時的に盛り上がりをみせ、時間外取引では株価が5%急騰した。多くのメディアが「エヌビディアの黄仁勳(ジェンスン・フアン)氏がAIバブル論を一蹴した」と報じたが、翌20日には結局3%安で引け、株価が連日下落したことで、「エヌビディアがAIバブル論を否定した」と主張していた側が逆に否定される結果となった。

陳鳳馨氏はまた、米国の一部報道で「ワシントンがエヌビディアのH200チップを中国向けに販売することを協議している」と伝えられている点にも言及した。H200は2022年に登場した第7世代の製品で、現在はすでに第8世代のBlackwellが中核となり、Blackwellシリーズは「300番台」へと進んでいる段階だという。そのため、中国側がいまさらH200を購入するかどうかには大きな疑問があるとし、この「表面的な好材料」があってもエヌビディア株が下落した背景には、こうした実情があると分析した。

2025年11月19日。輝達(Nvidia)執行長黄仁勳(Jensen Huang)在華盛頓甘迺迪中心舉行的沙國投資論壇上聆聽美國總統川普(Donald Trump)講話。(AP)
エヌビディアの黄仁勳(ジェンスン・フアン)CEOは、これまでAIバブル論を強く否定してきた。(写真/AP通信社提供)

著名投資家が相次ぎ売りに転じ、エヌビディアに市場の警戒高まる

陳鳳馨氏は続けて、エヌビディアの売掛金(アカウント・レシーバブル)が大幅に増えている点について言及した。売掛金は以前の230億ドル前後から330億ドル規模へと拡大したが、同氏は「危険シグナルとまでは言えない」と説明する。というのも、エヌビディアの売上高は2025年に62%成長しており、売掛金の増加率44%はその延長線上で十分に説明できるためだ。 (関連記事: Google台頭で最大の痛手はエヌビディアではない?専門家が指摘する「大規模言語モデル首位」を失った企業とは 関連記事をもっと読む

また、在庫回転日数は今年第1四半期の55日から、第2四半期には91日、第3四半期には103日と、AI時代に入って以降で最も長い水準に達した。この増加要因については複数の見方があり、将来的な大量販売を見据えて原材料や半製品を積み増しているとする説もあれば、エヌビディアが多数のスタートアップを支援しているため、チップの納品前段階に在庫が積み上がっているとの指摘もある。陳氏は、在庫の積み上がりは確かに「トレンドとして増加傾向にある」が、現時点ではまだ警戒ラインには達しておらず、「極めて危険な状況とは言えない」との見方を示した。

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