香港・新界の大埔にある住宅団地「宏福苑」で11月26日(水)午後に発生した火災は、発生直後から急速に燃え広がり、香港消防処は最終的に火災等級を最高レベルの「五級」に引き上げた。炎は17時間以上にわたり燃え続け、1996年の嘉利大廈火災、2008年の嘉禾大廈火災に続き、香港で3例目となる五級火災となった。
最新の集計では、28日午前6時時点で94人が死亡、76人が負傷。このうち8人は消防隊員で、1人が殉職した。
香港・宏福苑五級火災まとめ1:7棟が「火の海」に 拡大のタイムラインを整理
『香港01』によると、香港警察は26日午後2時51分、宏福苑8棟のうち31階建ての「宏昌閣(F棟)」外壁足場から出火の通報が寄せられた。宏福苑は築42年で、約2000戸が入居する大規模団地。外壁改修工事のため、多くの棟が竹製足場と緑色ネットで覆われていた。
消防隊が到着した時点で、火災はすでに約27m×21mに拡大。火災警報は午後3時2分に3級、3時34分に4級へ、そして午後6時22分に最上位の五級へ引き上げられた。日没とともに火勢はさらに広がり、複数棟が炎に包まれた。
香港・宏福苑五級火災まとめ2:消防処副処長が語る 火勢拡大の原因
消防処副処長の陳慶勇氏は、火勢が急速に広がった要因として、「風であおられた火の粉や燃焼物が周辺の大楼に飛散した可能性が高い」と説明した。
宏福苑は8棟構成だが、最終的に7棟が延焼。SNS上には、宏昌閣の下層足場から火種が発生し、数分のうちに足場沿いに縦方向へ一気に燃え上がる映像が投稿されている。また一部の市民からは「建物全体で警報が鳴らなかった」との証言も寄せられた。
香港・宏福苑五級火災まとめ3:出火原因は人為的過失か 捜査の焦点に
警察と消防処は合同の調査班を立ち上げ、火勢拡大の要因について複数の人為的要因を中心に捜査を進めている。現時点で焦点となっているのは次の3点だ。
大火の原因1:足場での「喫煙」疑惑
SNS上の動画には、オレンジ色の作業服を着た工員が足場付近で喫煙し、女性に注意されても煙草を消さず作業を続ける様子が映っている。
住民によれば、工事期間中、足場や作業エリアで工員が喫煙する様子を頻繁に目撃しており、「吸い殻やごみが足場ネットを引火させた可能性」が指摘されている。
大火の原因2:外壁ネットの「難燃性不足」疑い
保安局の鄧炳強氏や消防処は、現場で確認された外壁の保護ネットやフィルム、ビニールシートなどが「通常の難燃性資材より著しく速く燃え広がった」と説明した。
香港安全師学会の李光昇氏は、一般的な保護ネットの代わりに「難燃加工されていないネット」が使われていた可能性を指摘。難燃ネットは通常のネットの約2倍の価格で、コスト削減のため安価なネットが使われた可能性があるという。 (関連記事: 香港で過去63年最悪の高層火災》宏福苑7棟が「火の滝」と化し垂直生活の避難網が崩壊、数百人不明で責任追及が焦点に | 関連記事をもっと読む )
大火の原因3:窓外の「発泡スチロール板」
警察と消防は、延焼していない棟のエレベーターホール外側の窓が、可燃性の高い発泡スチロール板(Foam Board)で覆われていたことを確認した。施工会社の通知によれば、これは「窓ガラスが工事中の破片で割れるのを防ぐため」だったというが、消防処は「極めて燃えやすく、火勢を一気に加速させる危険な配置」であり、異常とみている。















































