国際動向》Google製TPUはNVIDIA GPUの「最大10分の1価格」 大口顧客が相次ぎ採用、それでもフアンCEOはなぜ動じないのか

2025-11-27 12:01
2025年10月27日、ニューヨークの建物にあるGoogleのロゴ。(AP)
2025年10月27日、ニューヨークの建物にあるGoogleのロゴ。(AP)

Googleが独自開発するTPU(Tensor Processing Unit)が、AI半導体市場で圧倒的シェアを握るエヌビディア(NVIDIA)に激しく迫っている。AI向け計算資源をめぐる「軍拡競争」は、2025年になって大きな転機を迎えた。エヌビディア製GPUの約10分の1とされるコスト優位に加え、AI訓練に特化したアーキテクチャを武器に、Googleは自社の最新モデル「Gemini 3」を全面TPUで訓練し終えたうえ、MetaやAnthropicといった大手との協力協議も進めている。「脱NVIDIA」の流れは投資家心理を直撃し、エヌビディアの時価総額は一日で1,000億ドル規模が吹き飛んだ。アナリストは、これは単なる売上争いではなく、将来のデータセンターの主導権をめぐる決定的な戦いだと見ている。

GoogleのTPUは、エヌビディアの牙城であるAI半導体分野において、その支配的地位に真正面から挑んでいる。最近発表されたGemini 3モデルは、訓練工程をすべて自社TPUで賄った点が大きな話題となった。同時に、AI企業AnthropicがGoogleチップを大量導入すると表明し、MetaもTPU導入に向けて協議中だと報じられている。こうした報道を受け、エヌビディア株は25日の寄り付きで一時7%前後下落した。

ここ数年、AIブームの最大の受益者は間違いなくエヌビディアだった。いまや同社は世界で最も時価総額の高い企業となり、投資家はAI半導体市場での同社の支配力は揺るがないとみて、株価を押し上げ続けてきた。多くの競合企業やスタートアップがシェア奪取を狙ってきたものの、目に見える成果はほとんどなかった。

しかし今、エヌビディアの最大顧客の一社が、最も手強いライバルになりつつある。Googleは今月、最先端のAIモデル「Gemini 3」を投入し、多くのベンチマークでOpenAIなど主要競合を上回ったと強調した。英『エコノミスト』が指摘するように、特に重要なのは、Gemini 3がGoogle自社開発のTPUだけで訓練されている点であり、GoogleはこのTPUを外部企業にも販売し始めている。その価格は、エヌビディア製GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)よりも大幅に安いとされる。 (関連記事: シリコンバレーの巨人がついに覚醒 Gemini 3が競合を圧倒し、時価総額3.6兆ドルを回復 Googleの成功秘話 関連記事をもっと読む

先月には、Anthropicが最大100万個のGoogle TPUを使用する計画を発表し、その契約規模は数百億ドルに達するとみられている。また『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、Metaが2027年までにデータセンター向けにGoogle製チップを採用する方向で協議していると報道した。このニュースを受け、Googleの持株会社アルファベットの株価は25日に再び1%超上昇し、時価総額は4兆ドルに迫った。AIツール、クラウドサービス、半導体事業への期待で続いてきた上昇トレンドに、さらに弾みがついた形だ。一方で、エヌビディアの時価総額は24日の取引終了後、1,000億ドル以上、全体のおよそ3%が失われた。

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