論評:ウクライナ和平案と台湾の「国民安全ガイド」 頼清徳氏の戦争認識を問う

2025-11-25 09:50
頼清徳総統が、総統府の全社会防衛レジリエンス委員会が国防部に委託して印刷した新版『台湾国民安全ガイド』を閲覧している。(写真/総統府提供)

戦争は決して笑い事ではない。しかし、世界で最も危険な地域とされる台湾では、連日常態化した中国軍機・艦艇の威嚇飛行が続くなかでも、人々は驚くほどの「強靭さ」を見せ、依然として「ライブを楽しむ余裕」がある。まさにその頃、米国のトランプ大統領がウクライナに「28項目の和平案」受け入れを求め、台湾の国防部は「緊急」に第二予備金を動用し、「危機が迫った際の台湾国民安全ガイド」の全戸配布を開始した。まるで戦争を喜劇のように扱う「乱世太平のブラックコメディ」の様相さえ漂う。

割譲・軍縮・NATO断念 ウクライナの犠牲は何のためだったのか

ロシア・ウクライナ戦争は3年半に及び、ウクライナは勝ち目の薄い戦いを続けた結果、人口は数千万人規模で流出し、領土の約5分の1を失い、直接的な被害だけで1500億ドル超、経済損失は3分の1に達した。復興費用は4800億ドル以上と推計され、これは2023年のウクライナ名目GDPの2.8倍に相当する。

そして今、ウクライナの前に突きつけられているのは、到底受け入れられない和平案――領土割譲、軍縮、NATO加盟断念である。ウクライナが勇敢に抗戦して得ようとしたものは一つとして実現していない。では、この3年半の犠牲は何のためだったのか。

欧州各国は「米国案」をもとに項目ごとの修正版を提示しているが、ウクライナが戦前の状態に戻ることはない。さらに悲劇的なのは、ゼレンスキー大統領が「どんな合意であれ、『尊厳ある平和』をもたらさなければならない」と語りながら、現実には戦火が尊厳を粉々にし、この「平和」は痛みを伴う妥協に過ぎないことだ。

「今日のウクライナ、明日の台湾」? むしろ両者の差は衝撃的なほど鮮明

戦争勃発時、「今日のウクライナ、明日の台湾」というフレーズがネットで急浮上し、台湾も国際的な注目の的となった。当時、蔡英文総統はウクライナと台湾の状況は異なると強調したが、それでも世界各国の政治家や専門家はウクライナを台湾の比較対象として語り続けた。

しかし、両者を並べれば並べるほど、その差はむしろ身震いするほど鮮明になる。

米国のシンクタンク・欧州政策センター(CEPA)は、台湾がウクライナから学べる教訓として以下の三つを挙げた。

  1. 柔軟かつ適応的な軍事能力の整備
  2. ハイブリッド戦(混合戦)への対処能力
  3. 国際支援の重要性

要するに、①軍備調達の拡充、②現役・予備役兵士の訓練強化、③偽情報への認知戦能力強化、④国際連携の確保の四つである。台湾はこれらに取り組む姿勢を示しているが、認知戦では沈伯洋氏が注目を集め、「国民安全ガイド」が印刷された以外、残る三点は未だに成果が見えない。 (関連記事: 李忠謙氏コラム:台湾有事の際、日本は自衛隊を投入するのか 専門家が見る現実的シナリオ 関連記事をもっと読む

ウクライナには国際支援、台湾には「寿司を食べる総統」

軍備調達を例にとれば、賴清德総統は国防予算の増額を明言したが、発注済みの兵器・機体の遅延は改善していない。中国人民解放軍が連日「準備は整った」と誇示するなか、台湾側には「備えが整う時期」が見えない。

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