戦争は決して冗談ではない。しかし「地球で最も危険な地域」とされる台湾では、戦闘機や艦艇の台湾周辺での活動が日常化しても、人々は驚くほどの「強靱さ」を見せ、コンサートを楽しむ余裕すらある。
そんな中、米国のトランプ大統領がウクライナに対し「28項目の和平案」を受け入れるよう求めたのとほぼ同じ時期に、台湾の国防部は第二予備金を「緊急」動員し、「危機が迫ったときの国民安全ガイド」を全家庭に配布する作業を開始した。戦時下とは思えない、どこか滑稽さすら漂う混沌とした状況が浮き彫りになっている。
領土割譲、軍縮、NATO加盟断念——ウクライナは何を目指すのか?
ロシアとウクライナの戦争はすでに3年半。勝ち目の乏しい戦いを続けてきたウクライナは、数千万人規模の人口流出を招き、国土の約2割を失い、直接的な戦争被害は1500億ドル超、経済損失は3分の1に達した。復興費用は4800億ドル以上と試算され、これは2023年のウクライナ名目GDPの約2.8倍にあたる。
そして今、ウクライナの前に突き付けられているのは、領土割譲、軍縮、NATO加盟断念といった、到底受け入れがたい「和平案」だ。ウクライナが勇敢に抵抗して追い求めたものは一つとして得られず、ではこの3年半の犠牲は一体何のためだったのかという問いが重くのしかかる。
欧州各国は「米国案」を基に項目ごとの修正案を示しているが、いずれにしてもウクライナの状況は戦前には戻らない。さらに厳しいのは、ゼレンスキー大統領が「いかなる合意も『尊厳ある平和』をもたらさねばならない」と語る一方、現実には戦火が尊厳を粉々にし、この「平和」は悲劇的な妥協を伴うものになっている点だ。
戦争勃発時、「今日のウクライナ、明日の台湾」という言葉がネット上で急浮上し、台湾も国際的な関心の的となった。当時、蔡英文総統はウクライナと台湾は状況が異なると強調したが、それでも各国の政治家や有識者はウクライナを台湾の比較対象として語り続けた。
しかし、両者を並べて見れば、その差はむしろ身震いするほど鮮明になる。
ワシントンのシンクタンク「欧州政策センター(CEPA)」は、台湾がウクライナから学べる三つの教訓として「柔軟かつ適応的な軍事能力」「ハイブリッド戦への対応力」「国際支援の重要性」を挙げている。要するに、第一に軍備調達の拡充、第二に現役・予備役の訓練強化、第三に偽情報に対抗する認知戦能力の向上、第四に国際的な連携と支援の確保だ。
台湾はこれらに取り組む姿勢を示しているものの、認知戦で沈伯洋氏が注目を集め、「国民安全ガイド」が配布された以外、残る三点では目に見える成果はまだ乏しいのが現状だ。
ウクライナは国際支援を受け、台湾は寿司を食べる総統を持つ
軍備調達を例に取れば、頼清徳総統は国防予算の増額を明言したものの、発注した兵器や装備の引き渡し遅延は依然として改善していない。中国人民解放軍が連日のように「準備は整っている」とアピールする一方、台湾側には「いつ備えが整うのか」という明確な見通しが立っていないのが実情だ。
















































