台湾とアメリカの関税協定が間もなく発表?FT:台湾の投資約束は4,000億ドルに達し、輸出区管理の経験を提供、TSMCの工場計画を含む

2025年3月3日、米国のトランプ大統領とTSMC(台湾積体電路製造)の魏哲家董事長がホワイトハウスのルーズベルトルームで記者会見を開いた。(写真/AP通信提供)
2025年3月3日、米国のトランプ大統領とTSMC(台湾積体電路製造)の魏哲家董事長がホワイトハウスのルーズベルトルームで記者会見を開いた。(写真/AP通信提供)

米国のトランプ大統領は、台湾からの輸入品に20%の関税を課すよう指示した。これは「解放日」に示された32%よりは低いものの、日本や韓国と比べれば依然として5ポイント高い水準で、貿易に強く依存する台湾にとっては大きな痛手となる。また、台湾では、自国の半導体産業が今後232条の国家安全審査の対象となり、関連サプライチェーンに追加関税が科される可能性があるとして、先行きへの不安が広がっている。

英紙フィナンシャル・タイムズ は、ワシントンの匿名高官の話として、米台双方が進めてきた関税協議がまもなくまとまり、対外発表される見通しだと報じた。ある政府関係者によれば、協議案には米国への投資に関する台湾側のコミットメントが明記されており、その総額は日本と韓国の合意水準の中間に位置するという。この記述は、台湾が米国におよそ4,000億ドル(約60兆円)を投資することを示唆しているとみられる。

同関係者は「日本や韓国との最大の違いは、台湾が示しているのは曖昧な約束ではなく、すでに計画中、あるいは着手済みの具体的な投資案件だ」という点だと強調した。

対米投資となれば、当然TSMC(台積電)の存在を外すことはできない。世界の先端半導体の約九割を生産するTSMCは、これまでにアリゾナ州へ1650億ドル(約25兆円)を投じ、半導体工場、後工程施設、研究開発拠点を整備する計画を示している。事情に詳しい関係者によれば、このTSMCの投資も、台湾側が提示する対米投資コミットメントに含まれる見通しだという。

また、トランプ政権との通商交渉の過程で、台湾は自国が半導体産業を育ててきた「科学工業園区」整備のノウハウをたびたび共有し、これこそが台湾の半導体産業成功の基盤だと強調してきた。

2022年12月6日、米国大統領バイデン氏がTSMCのアリゾナ州の新工場を視察(AP)
2022年12月6日、米国大統領バイデン氏がTSMCのアリゾナ州の新工場を視察(写真/AP通信提供)

国家科学技術委員会(國科會)の吳誠文主委はインタビューで、米国が高関税によって台湾の世界最先端の半導体産業を「懲罰」することはないと述べた。台北側は、米企業が台湾の産業発展モデルを学べるよう支援し、科学園区の運営手法、企業誘致の仕組み、産学連携のノウハウを提供していく考えだという。過去数十年にわたり、まさにこうしたモデルが台湾を「半導体製造大国」へと押し上げてきたためだ。

吳氏は取材の中で、米国は台湾を罰することが自国の利益にならないことを十分理解していると指摘し、「台北とワシントンはすでに、台湾が米国の半導体産業育成を支援し、その見返りとして関税免除を得る」という方向で一致していると述べた。

20250916-國科會主委吳誠文16日出席「台師大女足抽血事件処置結果及び強化管理機構」記者会見。(顏麟宇撮影)
2025年9月16日、国家科学技術委員会(國科會)の吳誠文主委は、「台湾師範大学女子サッカー部の採血事件の処分結果および管理強化策」に関する記者会見に出席した。(写真/顏麟宇撮影)

吳誠文主委は海外メディアのインタビューでも、いわゆる「シリコン・シールド(Silicon Shield)」の概念に改めて言及した。氏によれば、「台湾で作った半導体を米国に運び、そこから世界中へ再び輸送するなど、本来きわめて非効率なやり方だ」という。台北は最先端の研究開発力を国内にとどめ、産業の「空洞化」を決して許さない方針だが、その一方で政府は経済構造の多角化にも取り組んでおり、ドローン、ロボット、医療テクノロジーなどの分野に注力している。第二の「シリコン・シールド」を育て、台湾が半導体だけに依存しない産業基盤を築くことが狙いだという。

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