エヌビディア好決算で時価総額22兆円増も 専門家は「AIバブルと100年ぶりの高バリュエーション」に警鐘

2025-11-21 09:55
2025年11月19日、NVIDIAのCEOである黄仁勳氏がワシントンのケネディセンターで開催されたサウジアラビア投資フォーラムでドナルド・トランプ米大統領の演説を聞いている様子。(写真/AP通信提供)
2025年11月19日、NVIDIAのCEOである黄仁勳氏がワシントンのケネディセンターで開催されたサウジアラビア投資フォーラムでドナルド・トランプ米大統領の演説を聞いている様子。(写真/AP通信提供)
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米半導体大手エヌビディア(Nvidia)のジェンセン・フアン(黄仁勳)CEOは19日、一部で囁かれる「AIバブル」論を笑い飛ばした。同社が発表した第3四半期決算は市場予想を大きく上回る好調さを示し、第4四半期の見通しも強気で、ここ数四半期続いてきた成長鈍化懸念を払拭した格好だ。

決算発表前の市場心理は極度に緊張していた。英紙『ガーディアン』によれば、オプション市場ではエヌビディア株が1日で6%動く可能性、すなわち時価総額が一気に2800億ドル消失または増加するとの予測があったという。エバーコアISIのジュリアン・エマニュエル氏は『フィナンシャル・タイムズ』に対し、市場には「AIピークが近い」という強い恐怖感が広がっていたと語る。

こうした不安心理を強めたのが、一部AI企業関係者の動きだ。パランティアのピーター・ティール氏、日本のソフトバンクグループの孫正義氏が相次いで数十億ドル規模のエヌビディア株を売却。2008年の金融危機で「ビッグショート」を成功させたマイケル・バーリ氏もエヌビディアやパランティアをショートし、「AIバブル崩壊」を警告した直後に自身のファンド「サイオン・アセット・マネジメント」を突然閉鎖した。

アナリストは、第3四半期の純利益・売上高が少なくとも50%成長すると見込んでいた。マイクロソフト、アマゾン、アルファベット、メタなどテック大手が引き続き数十億ドル規模のGPUを購入していたためだ。しかし、実際の決算はそれすら上回る水準だった。

同社の第3四半期売上高は過去最高の570億ドルに達し、市場予想の549億ドルを上回った。前年同期比62%増となり、純利益は319億ドル(65%増)。データセンター部門の売上高は512億ドルで、アナリスト予想の490億ドルを超えた。次期売上高についても650億ドルを見込むとし、こちらも予想の610億ドルを上回った。

フアン氏は同社のブラックウェル(Blackwell)世代GPUについて「売り上げが爆発している」と述べ、同シリーズが過去最強の製品である点を強調した。

「AIバブル」への懸念を真っ向から否定

今回の決算は、投資家が抱えていた「AI熱が実体を上回っているのではないか」という不安をひとまず鎮めた。フアン氏はアナリスト向け電話会議で「最近AIバブルの話がよく出ているが、我々の見方はまったく違う」と語り、クラウド企業による強い需要を指摘。高性能GPUの受注残が2026年までに5000億ドル規模に達している点を再度アピールした。

フアン氏によれば、AIは三つの「変革的潮流」を推し進めており、エヌビディアはその全てで優位性を持つという。第一に、ムーアの法則の失速である。半導体性能の伸びが鈍化するなか、企業はCPUからGPUへと移行しつつあり、エヌビディアはAI向けGPUの主導者となっている。 (関連記事: ソフトバンク、NVIDIA株を全売却 総額58億ドルでAI市場に衝撃 背景に「OpenAI再投資」計画も 関連記事をもっと読む

第二は生成AIの台頭で、検索やレコメンダーシステムの仕組みそのものを変えつつある。第三はエージェント型AIや実体(ロボティクス)AIの発展だ。これらはアシスタント、ロボットなどの分野で新たな突破口を生みつつある。「企業がエヌビディアを選ぶのは、これら三つの変革を同時に支えられるアーキテクチャを提供できるからだ」とフアン氏は述べた。

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