中日関係の緊張が高まるなか、中国の薛剣・大阪総領事が「高市首相を斬首」と挑発的な発言を行い、続いて日本の高市早苗首相が「台湾有事」をめぐり支持を表明したことで、中国政府は激しく反発。「日本旅行を避けるように」という通知を出し、事実上のソフトな『訪日自粛令』を発動した。これについて、財信伝媒の董事長である謝金河氏は、「中日両国は歴史の分岐点に立っている」と述べつつ、中国が発動した渡航凍結措置でも「中国人の日本旅行への衝動は止められないだろう」と指摘した。
謝金河氏は、ここ数日で中日関係が急速に悪化した背景として、中国の薛剣総領事による「首相斬首」発言に触れ、「中国の『戦狼外交』が再び姿を見せた」とコメント。まず中国が旅行凍結令を出し、その後黄海での軍事演習を展開した点について、「これらは台湾にとって見慣れた手法だが、日本にとっては不慣れだったはずだ」と述べた。
中国は本当に長期で「訪日禁止」を続けられるのか?データで検証
謝氏は、中国政府が中国国民の日本旅行を長期間禁止できるのかという問題について、客観的なデータを示した。
2024年に日本を訪れた外国人観光客は 3687万人。
その内訳は以下のとおりである:
韓国:881万人
中国:698万人
台湾:604万人
米国:272万人
香港:268万人
謝氏は続けて、2025年1〜9月のデータでは中国人訪日客が 748.7万人 に達し、前年同期比 43.7% 増と急増していると説明した。韓国は679万人(前年比 +5%)、台湾は503.6万人(+9.8%)。しかし消費額を見ると、台湾人は 7〜9月の訪日時支出が 600億台湾ドル超 に達し、国・地域別でトップとなった。
安倍元首相の「サービス輸出」をめぐる目標、ほぼ達成へ
謝氏はさらに、安倍晋三元首相が就任当初に打ち出した「三本の矢」以外に、サービス業の輸出拡大を掲げ、2022年東京五輪に向けて「訪日外国人4000万人」を目標にしていたことを回顧。今年の数字はその目標値に極めて近い水準となっている。そして、「たとえ日中関係の対立が激化しても、中国人の日本観光への衝動を止めることは難しい」と結論づけた。
「日本は明らかに怒っている」軍備・産業政策で強い姿勢
謝氏は、「日本人は本来控えめで内向的だが、今回は明らかに怒っている」と述べる。高市首相は自民党総裁就任時から、軍備強化、サプライチェーン安全保障、半導体産業の再興を掲げており、今回謝氏が日本から持ち帰った『東洋経済』誌も、日本の防衛産業を総力特集していたという。これに呼応するように、日本の軍需関連株や半導体サプライチェーン銘柄が軒並み上昇しており、「日本はすでに備えを整えている」と分析した。
日中対立は日・米・中・北東アジアに連鎖 米国大使も参戦
謝氏は、中日関係の悪化に対し、米国のジョージ・グラス駐日大使がSNS「X」で「呉江浩駐日中国大使、薛剣駐大阪中国総領事におかれましては、揺るぎない日米の絆を一層深めるためのご尽力、まことにお疲れさまでございます。心からの感謝を」と投稿したことにも言及。
この「日中対立」が、日本、米国、中国、北東アジア、さらには台日関係に大きな地政学的変化をもたらす可能性があると警告した。 (関連記事: 米海軍トップ、高市首相の「台湾有事は存立危機」発言に言及 「驚きはない」も計画変更せずと強調 | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp
















































