軍事専門メディア『The War Zone』は、中国の滬東中華造船所で撮影されたとされる映像をもとに、中国人民解放軍が中型貨物船1隻を無人機運用が可能な「無人機空母」へ改装していると報じた。注目されるのは、この船舶が数日前まで「臨時水上戦闘艦」として改装されていた点で、短期間のうちに再構成が行われ、弾薬輸送用プラットフォームから多用途の先進的無人機作戦母艦へ転用されたとみられている。
『The War Zone』によると、作戦用無人機を射出するための装置とみられる「電磁式カタパルト(EMALS)」が、この中型貨物船に搭載された可能性があるという。この船は直前まで、約60基のコンテナ化された垂直発射ミサイル(VLS)を搭載し、レーダーや近接防御兵器(CIWS)も装備していたが、現在は無人機運用を想定した艦艇へと再改装されている。
報道では、上海の滬東中華造船所近くのドックでは、中国海軍の076型大型強襲揚陸艦「四川」も乾ドックに入っていることが確認されていると指摘。この艦は当初から電磁式カタパルトを内蔵し、各種無人機の発艦が可能な設計とされている。
一方で、『The War Zone』は、この中型貨物船について、大量のコンテナを撤去し、カタパルトを設置した後に、実際にどれほどの甲板運用スペースが残されているのかは不明だとする。衛星画像では、以前埠頭に姿を見せた後退翼を持つステルス型作戦無人機は大型で、翼幅も相当な規模であることが確認されており、実運用の制約が懸念されている。
To more very close images showing these new UCAV/CCAs and as it seems, there is even a CH-4 visible for the first time.https://t.co/OuvFvy191Spic.twitter.com/PB1hogiWgJ
— @Rupprecht_A (@RupprechtDeino)January 2, 2026
さらに分析では、荒天時の船体動揺下や、長期間にわたる過酷な海洋環境で、電磁カタパルトが十分な信頼性を維持できるかについては、現時点で明確な答えはないと指摘されている。加えて、短い距離で重量のある後退翼無人機を射出するには莫大な電力が必要であり、無人機側も極めて強い加速度に耐える設計が求められるため、技術的な実現性には疑問が残るという。
また、船上には無人機を回収するための設備が確認されておらず、「発艦のみで回収しない」運用構想である可能性が高いと分析されている。仮にパラシュートなどで着水させ、回収・再整備する方法が想定されているとしても、実務的には極めて困難であり、この艦から発進する無人機は事実上の片道任務となる可能性が高いとみられている。
『The War Zone』は、最大の論点は、これらが実際に運用可能な軍事能力なのか、それとも中国が意図的に外部へ示した「武力誇示」に過ぎないのかという点だと指摘する。そもそもこの貨物船は、当初から外部観察を意識した構成で配置されているようにも見えるという。中国は、どの軍事技術が公の視野に入るかを熟知しており、政府が直接公表しなくとも、一定の情報が「流出」することを想定している可能性があるとする。
実際、艦艇や移動式カタパルト装置を近距離から撮影した高解像度画像が、複数インターネット上に出回っている。撮影角度や画質はいずれも非常に鮮明で、これらの画像がどこから流出したのかは不明だが、短期間で広く拡散した事実は、中国側が意図的に外部へ見せている可能性を示唆している。
報道は、中国が発しているメッセージは明確だとする。「巨大な商船船団を迅速に水上戦闘艦や先進的な無人機母艦へ転換できる」という能力の誇示であり、急速な中国海軍の拡張に直面する米国および同盟国にとって、看過できないシグナルだという。
現時点では、このシステムが成熟し、実戦で即応可能な段階にあるかどうかは不透明だが、こうした能力の存在を軽視することは、決して賢明ではないと『The War Zone』は結論づけている。
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編集:小田菜々香

















































