2026年に向けた事業継続計画(BCP)の在り方と、企業が優先的に投資すべき領域をテーマとする共催ウェビナーが、2025年11月21日、ニュートン・コンサルティング株式会社と株式会社JX通信社の共催によりオンラインで開催された。本ウェビナーでは、自然災害、地政学リスク、サイバー攻撃といった近年顕在化するリスクを踏まえ、BCPを「策定する計画」から「継続的に機能させるマネジメント(BCM)」へ転換する必要性が強調された。
冒頭、JX通信社の藤井氏は、2025年のリスク動向を振り返りつつ、「来年に向け、どこに予算を投じるべきかという現実的な判断が企業には求められている」と指摘。情報収集と訓練を繰り返すことが、有事対応力を高めるうえで不可欠であるとの認識を示した。
続いてニュートン・コンサルティングの久野氏は、激甚化する自然災害や地政学リスクの高まり、さらにサイバー攻撃の高度化とサプライチェーンへの波及影響について解説。サイバー攻撃によってシステムが停止し、受注や出荷業務を手作業に切り替えざるを得なくなった事例を挙げ、「攻撃を防ぐ対策だけでなく、突破された後にどう事業を継続するかというBCP対応が問われている」と述べた。
2026年に向けたリスク予測としては、「地政学リスク」「自然災害」「サイバー攻撃」の三点を主要要因として提示。これらは突発的に発生するだけでなく、常態化・長期化する可能性があるとし、備えの重要性を強調した。
投資戦略の具体論では、藤井氏が企業が優先的に検討すべき四つのポイントとして、①備蓄対策用品、②電源・通信インフラの確保、③マニュアル整備と訓練、④サイバーセキュリティ投資を挙げた。特に通信分野については、衛星インターネットの進化や従来型無線のサービス終了を踏まえ、「機器を導入するだけでなく、設置・運用訓練まで含めた備えが必要」と説明した。
サイバーセキュリティ投資を巡っては、被害額の増加と投資の二極化が指摘された。対策をほとんど講じていない企業がある一方で、数億円規模の投資を行う企業も存在し、「防御策と保険などを組み合わせた現実的な判断が求められる」とした。
BCPの成熟度について久野氏は、対応レベルを五段階で整理し、多くの企業が「対策はあるが実動が伴っていない」中間段階にとどまっていると分析。目指すべきは、過去の経験や想定事象に対応でき、部門・拠点間で連携訓練が行われているレベルであると述べた。
訓練の重要性については、机上の計画やマニュアル評価だけでは不十分であり、「実際に動けるかを検証する訓練こそが、対策の有効性を高める」との認識で両社が一致した。ニュートン・コンサルティングが提供する訓練支援ツール「dan-lo」についても紹介され、シナリオ作成や総評の負担を軽減し、企業が自律的に訓練を実施できる仕組みとして位置づけられた。
情報収集の分野では、JX通信社が提供する危機情報サービス「FASTALERT」の活用が議論された。SNSや報道情報を多元的に収集・分析することで、初動判断の遅れや誤認識を防ぐ重要性が強調され、「ツールを信頼して動ける状態をつくるためにも、訓練とセットでの活用が不可欠」とされた。
質疑応答では、全社員の防災意識向上が課題として挙げられ、セミナーやeラーニングに加え、「全社員の一部が段階的に訓練に参加する現実的な目標設定」が有効との見解が示された。
本ウェビナーでは、BCPを単なる計画書にとどめず、情報収集と訓練を通じて継続的にアップデートすることの重要性が共有された。2026年を見据え、企業がどのレベルを目指し、どこに投資すべきかを考えるうえで、実践的な示唆を与える内容となった。
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編集:小田菜々香


















































