前台湾総統・馬英九氏、高市早苗首相を批判「台湾を危険にさらす」 台湾海峡の問題は「両岸の中国人が自ら話し合うべき」

前台湾総統の馬英九氏(写真)は、「台湾有事」をめぐる高市早苗首相の発言があまりに拙速だと批判した。(資料写真/劉偉宏撮影)
前台湾総統の馬英九氏(写真)は、「台湾有事」をめぐる高市早苗首相の発言があまりに拙速だと批判した。(資料写真/劉偉宏撮影)

高市早苗首相が7日の衆院答弁で「台湾有事」に関する発言を行い、中国側の反発を招いたことについて、台湾の馬英九前総統はフェイスブックで声明を発表し、「高市首相の言動はあまりにも性急で、台湾を危険な状況に追い込んでいる」と批判した。馬氏は、台湾海峡情勢は両岸関係の影響を強く受けるとして、「この種の問題は外国の介入に委ねるべきではなく、『両岸の中国人』が自ら話し合うべきだ」と強調した。

馬氏は投稿で、高市首相が「集団的自衛権」を誤って引用したと指摘。これにより台湾海峡の緊張を煽り、中国側の激しい反応を招いたことに懸念を示した。また、歴代日本の首相が示してきた慎重な立場とは明らかに異なると述べ、石破茂元首相でさえ「軽々に結論づけるべきではなく、より慎重な姿勢が必要だ」と公に訴えていると紹介した。

さらに馬氏は、高市首相の台湾海峡への介入姿勢が、日本右翼および軍国主義の復活を想起させると指摘。とりわけ、今年が「対日抗戦勝利」と「台湾光復」から80周年に当たる敏感な時期であることを踏まえれば、武力介入を示唆する発言は極めて不適切で、中国国内の情緒を刺激し、台湾が求める平和と安定の利益を損なうものだと批判した。

馬氏は続けて、高市首相が引用した「集団的自衛権」の概念そのものにも誤解があると説明した。一般に知られる日本の「存立危機事態」は、日米安保体制に基づき、まず米国と協議する必要があると述べた。そのうえで、米国務省が繰り返し強調する「一方的な現状変更には反対する」との立場を踏まえれば、「高市首相は米側と十分に意思疎通を行っていないのではないか」と推測した。

日本首相高市早苗。(美聯社)
日本首相の高市早苗氏による「台湾有事」に関する発言が注目を集めている。(写真/AP通信提供)

馬氏はまた、自身が2012年に出席した「中日和平条約発効60周年記念特展・座談会」でのメッセージを振り返り、日本に対し「対立をエスカレートさせないこと」「対話を放棄しないこと」「平和的手段で紛争を処理すること」を呼びかけたと述べた。

台湾海峡情勢について馬氏は、台双方の友好関係を支持するとしながらも、「性急な発言や行動は歓迎できない。台湾を危険にさらすだけだ」と指摘。海峡の安定には両岸関係の平和的な発展が不可欠であり、「両岸問題の解決を外国に委ねるべきではない。両岸の中国人こそが、自らの知恵と能力によって平和的に分歧を解決すべきだ」と強調した。

最後に馬氏は、日本政府の関心自体は歓迎するものの、「逆効果となる軽率な言動については、明確に立場を表明すべきだ」とし、「それこそが台湾の人々の利益を守る真の姿勢だ」と結んだ。

世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp 

最新ニュース
日本政府、中国の強い反発にも姿勢崩さず 高市早苗首相「台湾有事」発言、撤回の予定なし 木原官房長官「政府方針と一致」と強調
イスラエルで「頭脳流出」が急拡大 8万人超が国外へ 戦争と政治対立で将来に不安
中国、日本への旅行・留学警告相次ぐ 解放軍報「日本を戦争へ導く恐れ」
ノーベル賞スティグリッツ氏「資本主義は民主主義を侵食」 世界共通の「最大リスク」とは
李忠謙コラム:エコノミスト「世界はトランプとAIの時代へ」 2026年を左右する「二つの確定要素」とは?
トランプ氏が一転「エプスタイン資料の全面公開」支持 下院今週採決へ、共和党内に波紋
舞台裏》台湾・国民党に「隠れ実力者」副主席 鄭麗文主席が起用した蕭旭岑氏は柯文哲氏と習近平氏を結ぶパイプ役
コーポレートガバナンス改革2025 日本取引所グループCEO・山道裕己氏が講演
蔡英文氏が欧州行を終えて台湾へ戻る 「台湾が必要とするなら、私はここにいる」
中国の国営メディアが警告「高市首相の改心なければ、日本は破滅へ」
トランプ氏、台湾による「100%の半導体製造」に嫉妬!過去の半導体法案を猛烈に批判し、関税で主導権を奪還する決意を表明
中国で「対日旅行キャンセル」急増 3日間で49万枚の日本行き航空券が取り消し 日中関係緊迫で日本観光業に打撃懸念
WSTが明かすAI業界の光と影:なぜOpenAIは2030年まで赤字なのか?
パグウォッシュ会議、広島で第63回世界大会 核兵器の危険性と新技術リスクを強調
高市首相の「台湾有事」発言で日中緊張 日本外務省局長が急きょ訪中し、立場を説明へ 大阪総領事の投稿にも正式抗議へ
中国が日本への渡航自粛呼びかけ 「台湾有事」巡る外交摩擦拡大、観光損失は2.2兆円規模と試算
死刑制度廃止をめぐり専門家が会見 袴田事件後の再検討を訴える
台湾・呉釗燮氏が中国外務省を痛烈皮肉 米大使も加勢し「日米関係を深めてくれて感謝」
侍ジャパン、WBC新ルールへ本格調整 韓国との連戦前に公式練習と会見を実施
台湾大学名誉教授・明居正氏「中国共産党は高市首相を政局から退陣させようとしている」日米が台湾問題で合意した可能性
中国共産党の元老が習近平に逆らえない理由 反腐敗で人脈も影響力も断たれた構造
ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025、第2戦は7―7の引き分け 韓国が終盤2本塁打で追いつき、対日本の10連敗に終止符
舞台裏》台湾民進党が高雄・桃園・台南で予備選を本格化 「神龍の戦い」へ 林佳龍氏は頼清徳氏に命がけで挑むのか
舞台裏》台湾民衆党・黄国昌主席が手綱握れず 柯文哲前台北市長の出所後も、党は「剣を抜いて行き場見えず」
自衛隊が中国空母の「撃沈検討」と言い出したのは誰か 高市早苗氏の「台湾有事」発言と関係はあるのか
日本、韓国に11―4で圧勝 岸田行倫の代打3ランが決勝弾 WBCへ向け台湾代表監督も現地視察
大谷翔平選手が「最優秀おむすびパーソン(MVOP)」に選出 ファミリーマートが「おいしさ、新次元へ。」キャンペーン発表会を開催
台湾REITs「樂富一號」、史上最大65億元を9日で調達 台茂ショッピングセンターを単独保有へ
台湾に今秋最強の寒気 北部で最低12度の予報 気象専門家「19〜20日が最も冷え込む」
高市政権、「非核三原則」見直しを検討か 米軍の核持ち込み容認に現実味
「台湾有事は存立危機」高市首相発言で日中緊迫 産経「必要なら福建艦を撃沈」報道めぐり議論拡大
高市早苗首相「台湾有事」発言で日中関係が急冷 中国官媒『日本は80年ぶりに中国を武力威嚇』と非難
黄錦鐘の視点:高市早苗の「台湾有事」宣言 「斬首」騒動は日中悪化の序章にすぎない
高市首相「台湾有事」発言が波紋 日中関係が急冷、外務省が特命訪中で火消し図る
中国、民進党立法委員・沈伯洋氏を“分裂国家罪”で指名手配――八炯氏と閩南狼氏に懸賞金設定
ADKマーケティング・ソリューションズ、「IBM Consulting Marketing Workbench」を国内最速導入
ADKマーケティング・ソリューションズとOgury Japan、AIを活用した新ペルソナ配信メニューを共同開発
三井ガーデンホテル、名古屋と豊洲でクリスマス限定メニュー発表
第63回ギャラクシー賞上期、テレビ7本が入賞決定 ラジオ・CM・報道活動は入賞候補を発表
歴史小説を通じて台湾と日本を読み解く──『南光』作者・朱和之氏が東京で講演
米国の対外援助停止が国際秩序と日米協力に陰――ピースウィンズ米代表と米日財団代表理事が日本に主導的役割を提言
台湾の男性カップル、メキシコで代理出産し一度に4人誕生 「無計画アピール動画」に批判殺到「なぜ子どものために備えないのか」
中国の水素エネルギー攻勢が加速、「二つの手段」で世界覇権を狙う? 専門家が警鐘:米国は二本柱戦略で対抗すべき
小泡芙だけではない 義美が無人機・ロボット産業に本格参入 株主には雲豹エネルギーの名も
谷關・福寿山を抑え「台中の最強スポット」が頂点に 2026年台湾観光100ハイライト発表、今まさに絶景の季節