舞台裏》台湾民衆党・黄国昌主席が手綱握れず 柯文哲前台北市長の出所後も、党は「剣を抜いて行き場見えず」

2025-11-17 17:01
柯文哲氏(右)が保釈後に日常を取り戻す一方、黄国昌氏(左)が率いる民衆党はペースを乱している。(写真/柯承惠撮影)
柯文哲氏(右)が保釈後に日常を取り戻す一方、黄国昌氏(左)が率いる民衆党はペースを乱している。(写真/柯承惠撮影)
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約1年に及ぶ拘留を経て、台湾民衆党の創設者・柯文哲氏は2025年9月8日、保釈金7000万元(約3億4300万円)を支払い、拘留停止となった。11月8日には公式YouTubeチャンネルで37分の動画「阿北剪頭髮」を公開し、わずか5日で40万回再生を突破した。動画の中で柯氏は、現在「更生者」として社会に再び適応しようとしていると語り、自宅で妻・陳佩琪氏の手料理を食べ続けた結果、「2カ月で2キロ太った」と笑ってみせた。

釈放後の近況は本人と陳氏のFacebookでも明かされている。柯氏は1日中インターネットでAIを学び、本の執筆を進め、訴訟への備えも続け、さらには台大病院で講義を受ける生活を送っているという。2カ月の「再適応期間」を経て、陳氏は「みんなが知っている阿北(柯文哲氏の愛称)が半分ほど戻ってきた」と記した。一方で、柯氏の生活が徐々に軌道に戻る中、彼が創設した民衆党は揺れている。党主席・黄国昌氏はゴシップ報道に巻き込まれ、国民党の新主席・鄭麗文氏との初会談は当選からほぼ1カ月後までずれ込み、「藍白合作(国民党と民衆党の連携)」は国民党側の冷淡な空気により低迷。党内外で不安が広がる中、2026年の地方選挙を前に民衆党は出口を見失いつつある。

柯文哲妻子陳佩琪透露,柯文哲(見図)回家近二個月,最常坐在電腦桌前努力學習新知識。(取自陳佩琪臉書)
柯文哲氏の保釈後、妻の陳佩琪氏は夫の「近況」をたびたび発信している。写真は帰宅後、パソコンデスクに向かい「勉強」に没頭する柯氏の様子。(写真/陳佩琪フェイスブックより)

柯文哲の帰還で民衆党が舞台喪失

柯氏の釈放は民衆党支持者「小草」の熱狂を呼び、柯氏のFacebookやYouTubeは大いに賑わった。しかし党幹部によれば、柯氏が拘留中だった間、民衆党は「政治迫害」「司法の不公平」を掲げて支持を動員し、街頭の存在感や話題性を保ってきたという。ただし同じ訴えを繰り返せば一般層への訴求力は落ち、釈放後はそのカードが使えなくなったことで、一気に方向性を見失ったと語る。

民衆党がまったく動いていなかったわけではない。年金改革の再検討、連合政府構想、黄国昌氏による疑惑追及、代理出産問題など、いくつかの議題を打ち出した。しかし、いずれも難しいテーマで賛否が割れやすく、世論の盛り上がりには至らなかった。その間に国民党側では鄭麗文氏や徐巧芯氏といった「国民党陣営スター」が注目を集め、さらに国民党が投入した「萊爾(ライアー)校長(国民党支持層で人気の政治系キャラクター)」の広告キャンペーンが大きな話題を呼び、二次創作まで広がった。

これに対し、柯文哲氏という「最強カード」を失っていた民衆党は、どこで主導権を取ればいいのか見いだせず、存在感を示す舞台を見失っているのが現状だ。 (関連記事: 舞台裏》台湾民衆党主席・黄国昌氏とは距離、CK楊氏は柯文哲氏に直通 鄭麗文氏が国民党主席なら国民党と民衆党の協力は進むのか? 関連記事をもっと読む

20251020-國民黨主席當選人鄭麗文(中)20日拜會國民黨立法院黨團。(柯承惠攝)
民衆党幹部は、鄭麗文氏(中央)ら国民党陣営のスター政治家への支持者の関心が一段と高まっていると指摘する。(写真/柯承惠撮影)

柯文哲は民衆党より大きく、黄国昌は民衆党より小さい

地方組織の関係者によれば、9月以降、民衆党は「司法迫害」という動員材料を失って以降、より一層存在感が薄れ、爆発的な訴求力を持つテーマを見いだせずにいるという。総統・立法院選の投開票を終えてからは、各地で行われてきた座談会、リビング会(客廳会)、地域コミュニティでの小規模イベントの実施が目に見えて減少。党本部も体系的な地域活動や組織計画を打ち出せず、国会議員や地方議員の発信力も弱まり、ライブ配信の視聴数も急落している。最も影響を受けているのは2026年に地方議員選へ挑みたい新人候補で、知名度確保の機会が減ることへの不安が募っている。

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