台湾・柯文哲氏を追い詰めた「宿敵検察官」 黄国昌氏への2度の単独取材、北検が一時「スパイ」と疑念

2025-09-18 16:48
前民衆党主席の柯文哲氏(写真)は法廷で検察側と数度にわたり激しく応酬し、緊迫した空気に包まれた。(写真/顔麟宇撮影)
前民衆党主席の柯文哲氏(写真)は法廷で検察側と数度にわたり激しく応酬し、緊迫した空気に包まれた。(写真/顔麟宇撮影)
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台湾総統・頼清徳氏の就任から3か月後の2025年8月30日、前民衆党主席の柯文哲氏が京華城案件をめぐり、台北地方検察署によって収賄容疑で拘束された。核心的な証拠とされる「小沈1500」に基づく強制捜査は、かつて贈収賄で摘発された前桃園市長・鄭文燦氏の事件を上回る衝撃を台湾社会に与えた。当初、柯氏は「台北地検の調べが終わればすぐに釈放される」と楽観していたが、その後も相次ぐ情報流出や中傷に直面し、背後でより深い政治的思惑が働いていることに気付き始めた。

最終的に検察は収賄罪で起訴し、重刑を求刑すると同時に保釈を認めず、柯氏は拘置所で「暗黒の日々」を過ごすことになった。法廷での反撃には、弁護団の鄭深元氏、陸正義氏、蕭奕弘氏が検察側の証拠を突き崩し、主導権を取り戻す必要があった。柯氏は一貫して京華城案件への関与を否定し、「公務員は違法行為をしておらず、検察の偽証によって罪を着せられた」と主張。裁判が進むにつれ、彼の主張に共鳴する声が広がり、政治的圧力や「司法清算」ではないかとの疑念も浮上している。

台北地檢署,北檢。(資料照,郭晉瑋攝)
台北地検が京華城案件を追及する中、柯文哲氏側は繰り返し「政治的な意図がある」と非難している。(資真/郭晉瑋撮影)

流れが怪しい 台北地検検察長が姜長志氏を思い起こす

法廷で冤罪を強く訴える柯氏に対し、妻の陳佩琪氏もFacebookで感情を込めた発信を重ね、ネット上では裁判の中継や法的分析が飛び交った。こうした動きに危機感を抱いた台北地検の検察長・王俊力氏は、「検察側の立場を明確に示さなければ世論が誤解する」と判断。

報道によれば、起訴を指揮した王氏は主任検察官の林俊廷氏や廖彥鈞氏、陳思荔氏らに「公正かつ迅速に審理を進めるよう」指示していた。しかし、柯氏が法廷で波状的な攻勢を仕掛けたため、公判検察官に対し「即座の反撃」を命令。それでも力不足を感じた王氏は、捜査段階で柯氏と激しく対立した姜長志氏の存在を思い浮かべたという。

前立委郭正亮強調,若柯文哲最後以交保結案,北檢檢察長王俊力(見図)も辞任の可能性あり。(資料照,柯承惠攝)
台北地検の王俊力検察長(写真)が公訴検察官に対し、必要な場面では即座に反撃するよう指示した。(写真/柯承惠撮影)

「夫人検察官」と呼ばれた姜長志氏 筆録提出をめぐり柯文哲氏と対立

京華城案件の捜査過程では、検察官・林俊廷氏が柯文哲氏や威京グループ創業者・沈慶京氏らと知略をめぐらす場面が知られている。しかし忠組にはもう一人、柯氏と鋭く対立した検察官がいた。それが姜長志氏である。姜氏は陳佩琪氏や彭振声氏の妻に対しても事情聴取を行い、そのため弁護団からは「夫人検察官」と呼ばれていた。また、姜氏が別件で陳氏を聴取した際の筆録は公開されておらず、何を意図しているのかを知るために、柯氏が法廷でその提出を求めたこともあった。

内部関係者によれば、柯氏は検察庁内で京華城案件を「政治的圧力の産物」と非難し、検察官を政権の手先と指弾していたという。これに対し姜氏は検察官としての矜持を示し、「仮に捜査室に座っているのが頼清徳氏であっても、違法の証拠があれば必ず起訴する」と返した。柯氏は「犯罪者は牢に入るべきだ」と応酬し、法廷では激しい応酬が続いた。ついには裁判官が割って入り、事態を収めざるを得なかった。

20250910-総統頼清徳10日「2025国家安全と経済の韌性フォーラム」に出席。(顏麟宇攝)
柯文哲氏が検察を「政治の道具」と批判する一方、姜長志検察官は「頼清徳総統であっても違法なら起訴する」と応酬した。(写真/顔麟宇撮影)

姜長志氏と柯文哲氏、法廷で激突 裁判官も制止できず

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