元台北市長・柯文哲、1年の拘置を経て変化? アイスキャンディが映す心境

2025-09-10 16:18
前民衆党主席の柯文哲氏は、9月8日に保釈金を納付し、約1年間の拘置所生活を終えて釈放された。(写真/陳品佑撮影)
前民衆党主席の柯文哲氏は、9月8日に保釈金を納付し、約1年間の拘置所生活を終えて釈放された。(写真/陳品佑撮影)
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台湾では、京華城の汚職事件への関与で収監されていた元台北市長で民衆党前主席の柯文哲氏が、2025年9月8日、7,000万台湾ドル(約33億6,000万円)の保釈金を納付して釈放され、台北地検を後にした。群衆の前では「賴清德総統が国を分裂させている」と激しく批判した一方で、「投獄は自らを省み、改善する機会でもあった」と述べ、「30年の外科医、8年の台北市長として、時に強硬すぎた」と反省の言葉も口にした。さらに立法院長・韓国瑜氏の「世の中の苦しむ人々を忘れるな」という言葉を引用し、収監中に医療すら受けられない同房者を目の当たりにし、台湾社会の別の一面を知ったと語った。

党内には「相変わらず民進党を批判する柯文哲で、士気は衰えていない」と見る声がある一方、中央委員の江和樹氏は「日光に当たらず肌が白くなっただけでなく、心も柔らかくなった」との印象を語る。果たして彼は変わったのか。その答えは、帰宅後のささやかな出来事に表れていた。

20250908-前台北市長柯文哲8日交保,支持者小草到場聲援。(柯承惠攝)
「小草」と呼ばれる支持者たちは、8日の保釈当日も現場に駆けつけ声援を送った。(写真/柯承惠撮影)

保釈後に見せた意外な姿

柯文哲氏は9月8日、保釈直後に台北地検で会見を開き、改めて賴総統を批判。その後、検察庁近くの愛国西路で支持者に挨拶し、車で新竹の実家に向かった。母の何瑞英氏、妹の柯美蘭氏と再会し、新竹市長の高虹安氏や代理市長の邱臣遠氏も出迎えた。

帰宅するとまずアイスキャンディーを一本かじり、その後に「厄払い」を意味する豚足麺線を食べ始めた。アイスは創業60年を超える新竹の老舗「814麗香冰店」のもので、創業者は父・柯承発氏の教え子、母も常連客として馴染みの店だ。この日も母が大箱で買い込み、記者団にも配った。

興味深いのは、母やスタッフが「柯氏はアイスを好まない」と思い込み、最初は彼の分を用意していなかったことだ。幼い頃から彼を世話してきた母も「食べるはずがない」と考え、台所で豚足麺の準備に取りかかっていた。だが柯氏は意外にも自らアイスを手に取り、その姿が「これまでと違う一面」を示していた。

20250908-民眾黨前主席柯文哲今(8)日交保停押,與妻子陳佩琪返回新竹老家與母親何瑞英團聚。(民眾黨提供)
柯文哲氏(左)は保釈後、新竹の実家に戻り、母の何瑞英氏(右)と再会した。(写真/民衆党提供)

過去は避けていた甘味も アイスキャンディをかじった柯氏

豚足麺が用意されるまでの間、側近が「少し喉が渇いているのでは」と気を利かせて、柯氏にアイスキャンディを差し出した。柯氏はしばらく10秒ほど眺めた後、にこやかに受け取り口にしたが、氷菓は思いのほか硬く、何度かかじっても歯が立たない。本人はその様子に思わず笑い、何度も試みるうちにようやくかじり取ることに成功すると、夢中になって食べ進め、最後まで食べ切った。その姿に場は笑いに包まれた。

居合わせた人々は「阿北(柯氏の愛称)がアイスをかじるのは初めて見た」と驚きを隠さず、普段の印象からは考えられない光景に笑いと意外さが広がった。その後も食欲は旺盛で、豚足を6切れ平らげ、麺線も残さず食べ尽くした。

もともと柯氏は長く薄味を好み、「肉を食べると欲望が増す」と言って自ら選べる場面では菜食を選んできた。冷菓や甘いものも好まず、過去には選挙の街頭活動で支持者からコーンアイスを差し出され、断りきれずしぶしぶ口にしたこともあるほどだ。そうした過去を思えば、今回、笑顔でアイスや肉を口にする姿は、1年間の勾留を経て食の習慣や心境に変化があったことを物語っているように見えた。

20250908-前民眾黨主席柯文哲交保,與妻子陳佩琪返抵新竹老家,探視柯媽何瑞英。(民眾黨提供)
かつては氷菓や甘いものを好まなかった柯文哲氏だが、1年の収監を経てアイスキャンディを豪快にかじる姿に、周囲から驚きと笑いが起きた。(写真/民衆党提供)
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