定額制動画配信サービス「Netflix」が日本でサービスを開始してから10周年を迎えた。これを記念して9月4日、東京都内のTOHOスタジオで特別イベント「Creators’ Spotlight(クリエイターズ・スポットライト)〜次のエピソードへ - 変わらぬ作品づくりの核心〜」が開催され、Netflix幹部や日本の著名な監督、俳優、アニメスタジオ代表らが登壇し、この10年間の歩みと今後の挑戦について語り合った。

グレッグ・ピーターズ共同CEO「日本は不可欠な市場」
オープニングにはNetflix共同CEOのグレッグ・ピーターズ氏が登壇した。2015年にアジア初の拠点を日本に設立した当時を振り返り、現在は日本国内の登録世帯が1,000万を超え、日本発の作品が累計約250億時間視聴されている実績を紹介した。さらに120作品以上が非英語作品のグローバルTOP10に入り、93カ国でランクインしたことを強調。「日本はNetflixにとって不可欠な市場」と述べ、2021年から2024年までの4年間で4,500億円超の経済波及効果をもたらしたと語った上で、「次の10年も日本の文化とクリエイティビティを世界に届けていく」と力を込めた。

坂本和隆バイスプレジデント「次の挑戦はライブ配信」
続いて登壇したNetflixコンテンツ部門バイスプレジデントの坂本和隆氏は、この10年を「クリエイティブファースト」と「ローカルファースト」の信念で歩んできたと振り返り、今後の挑戦としてライブ配信を掲げた。すでに米国で導入が始まっており、日本はアメリカに次ぐ導入国となる。坂本氏は「2026年ワールドベースボールクラシック(WBC)の独占ライブ配信を通じ、リアルタイムで熱狂を届け、人々の距離を縮めたい」と語った。

実写クリエイターが語る「Netflixとの挑戦」
実写パートのトークセッションでは、映像ディレクターの大根仁氏(『地面師たち』)、映画監督・脚本家の佐藤信介氏(『今際の国のアリス』)、藤井道人氏(『イクサガミ』)、俳優・クリエイターの山田孝之氏(『全裸監督』)が登壇し、Netflix実写統括の髙橋信一氏がモデレーターを務めた。

大根氏は「企画を持ち込んだ際、異例のスピードで承認された。製作も宣伝も自由闊達で、風通しの良さを感じた」と語り、次回作では最新のVFX技術を取り入れていることを明かした。
佐藤氏は「『今際の国のアリス』は世界で最も観られた日本発作品となり、日本のクリエイティビティが確実に広がっている」と述べ、現在は本格SF作品に挑戦しているとした。
藤井氏は「9年前、何者でもなかった自分にチャンスをくれたのがNetflix」と振り返り、新作で再び世界に挑むと紹介した。 (関連記事: Netflix日本上陸10周年 渋谷で記念イベント開催 限定グッズと没入型体験が話題に | 関連記事をもっと読む )

山田氏は「『全裸監督』は日本語のまま自分の実力を世界に出せるきっかけになった」と語り、海外で「Are you Netflix?」と声をかけられたエピソードを披露し会場を沸かせた。