第21回大阪アジアン映画祭は7日、大阪市のABCホールでクロージングを迎え、シンガポール映画『好い子』(原題:好孩子/英題:A Good Child)が世界初上映された。作品はドラァグクイーンとその家族の絆を描いたヒューマンドラマで、上映前にはワン・グォシン監督、主演のリッチー・コウさん、母親役を演じたホン・フイファンさんが登壇し、観客に挨拶した。
ドラァグクイーンと家族の再生を描く
物語は、父の死をきっかけに実家へ戻ったドラァグクイーンが、認知症の母や確執を抱える兄と向き合いながら、本来の自分を取り戻していく姿を描く。母親が息子を「娘」と信じ込むことで生まれる時間が、家族の再生をもたらす点が見どころとなっている。
ワン監督は「『好い子』を日本で世界初上映できたことに深く感謝しています。観客の皆さんに、シンガポールならではの家族の温かさを感じてほしい」と語り、会場は大きな拍手に包まれた。
キャストが振り返る撮影秘話
主人公を演じたリッチー・コウさんは、華やかな外見と葛藤する内面を抱える役柄について「肉体的にも精神的にも大きなプレッシャーを感じたが、監督や指導の先生の支えに救われた」と振り返った。
母親役のホン・フイファンさんも「最初は現実味があるのか疑問だったが、脚本の感動的な場面に出会い、自然に役へ入り込むことができた」と語り、観客の共感を呼んだ。
国際色豊かな映画祭、68作品を上映
大阪アジアン映画祭は8月29日から10日間にわたり開催され、計68作品を上映。そのうち23作品が世界初上映となった。今年は台湾・香港を特集した企画をはじめ、アジア各国からの注目作が集まり、多彩なプログラムで観客を魅了した。クロージング作品となった『好い子』はワン監督の新作として大きな注目を浴び、温かい拍手の中で映画祭は幕を閉じた。
編集:梅木奈実 (関連記事: 第21回大阪アジアン映画祭関連企画 「OSAKAシネマスケープ2025」開催決定!韓国アニメ新作&国際映画21本を上映へ | 関連記事をもっと読む )
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