台湾海峡のリスクは誇張されている?米シンクタンク:中国の侵攻は極めて不可能、米国の一手段は軍事費増大を合理化と批判

2025-09-07 21:20
史汀生センターは警鐘を鳴らす。中国の武力統一という想定を過度に拡大することで、資源の誤配置を招く可能性があると報告。報告書は「台湾海峡の紛争を過度に深刻視せず、『中国の台湾侵攻』という想定に伴う防衛投資を見直すべきであり、それが米国の利益にかなう」と呼び掛けた。(資料写真、AP通信)
史汀生センターは警鐘を鳴らす。中国の武力統一という想定を過度に拡大することで、資源の誤配置を招く可能性があると報告。報告書は「台湾海峡の紛争を過度に深刻視せず、『中国の台湾侵攻』という想定に伴う防衛投資を見直すべきであり、それが米国の利益にかなう」と呼び掛けた。(資料写真、AP通信)
目次

米国ワシントンのシンクタンク「スティムソンセンター」は最新の報告で、北京が台湾に対して大規模な攻撃を行う可能性は「極めて低い」と明言した。さらに、時間の経過とともに成功の可能性は逆に低下していると指摘。この報告書は『脅威の再考:中国が台湾を侵略しない理由』と題されており、ワシントンが台海戦争のリスクを過度に強調し、実際には軍事予算の増加を合理化していることを指摘している。報告書の著者ダン・グラジエ氏は、「軍事と防衛技術の進展により、北京の成功の可能性は日に日に低くなっている」と強調している。

台湾攻撃にはどのような軍事的挑戦があるのか?

報告書によると、台湾海峡を越えること自体が大きな挑戦であり、上陸作戦を成功させることは第二次世界大戦時の「ノルマンディー上陸作戦」以上に困難であると指摘している。また、台湾の多くの山地は防御側にとっての「最良の戦場」とされており、平原に広がる農地と湿地が「戦車の稲田や湿地帯での行進を阻む」ことで攻撃側の行動能力をさらに制限するとしている。シンクタンクは、これが「史上最大かつ最も複雑な軍事作戦」となり、北京が成功する可能性は極めて低いと結論づけた。

紛争が発生した場合、中国はどのような代償を払うのか?

報告書は、台海で戦争が勃発した場合には、まず大量の人的損害と人口減少が引き起こされ、中国共産党にとって大きな政治的リスクとなると述べている。その後、深刻な経済的打撃が続き、世界的な航運の混乱を招くだけでなく、国際社会からの全面的な制裁も引き起こす。最も懸念されるのは核戦争のリスクである。米軍が過去の多くのシミュレーション演習で示したように、従来の戦争が膠着状態になると、意思決定者は「核兵器の使用に訴えたいという強い衝動」に駆られることが多く、このリスクはどの国にとっても耐えがたいものである。

北京が採る可能性のある「全面的な攻撃以外の手段」とは?

全面的な台湾侵攻は現実的ではないと考えられているものの、報告書は北京が他の方法で台湾に圧力をかける可能性があると警告している。具体的には以下の通り:

  1. 海上封鎖:航運を遮断して圧力をかける。
  2. サイバー攻撃:インフラや政府システムを攻撃する。
  3. 威圧的な外交:軍事と経済的手段を利用し、台北に「圧力から逃れるために具体的な政治譲歩を求める」。

これらの戦略は全面戦争ではないが、台湾を域内安全保障において長期にわたり受動的な状況に置くのに十分である。

米国は防衛投資を見直すべきか?

現在、米国議会は新たな「国防権限法案」を推進しており、その中には「台湾安全保障共同イニシアチブ」(Taiwan Security Cooperation Initiative)への10億ドルの資金が含まれ、その目的は台湾の防衛能力を強化することにある。この法案には、原子力潜水艦などのハイテク兵器も含まれているが、スティムソンセンターは米国が中国による武力統一を過度に想定することが、資源の誤配置を招く可能性があると警告している。報告書は、「台海紛争の脅威を過度に強調するべきではないし、中国の台湾統一という想定に基づいた防衛投資を減らすべきである。この方が米国の利益により適う」と強調している。

台湾ニュースをもっと深く⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp

最新ニュース
フェアモント東京が「ゴシックハロウィン アフタヌーンティー」提供開始 紫・深紅・漆黒で彩る幻想的な秋のひととき
第38回東京国際映画祭、ナビゲーターに瀧内公美さん決定
『国宝』の李相日監督とクロエ・ジャオ監督が黒澤明賞受賞 第38回東京国際映画祭
両岸に重大な疑問 九三軍事パレードで習近平氏が台湾に言及しなかった理由とは
世界初上映23作を含む68作品 第21回大阪アジアン映画祭が開幕
「万博追踪」半世紀を経て再びスクリーンに ―第21回大阪アジアン映画祭が開幕
世界的バズの日本人会社員SAO 初のソロ曲「OHAYO」発表
USJ「ハロウィーン・ホラー・ナイト」、大阪・関西万博で特別公演 King Gnuの楽曲とゾンビが共演
元台北市長・柯文哲氏、保釈金7000万元「慎重に検討」 週明けに最終判断へ
2025年・台湾北海岸の観光スポットおすすめ10選 秘境の日の出、絶景の海岸、富基漁港の海鮮も堪能
韓国人男性との結婚が日本で急増 「魅力的で頼もしい」国際結婚は1年で40%増加
カリブ海で米軍が船舶を爆破 11人死亡 トランプ氏が「麻薬テロリスト」と強調 ベネズエラは米国の挑発と批判
ポルトガル・リスボンの百年ケーブルカー脱線事故、ワイヤー脱落の疑いで16人死亡 目撃者が再現する悲惨な衝突と崩壊
台湾半導体に警鐘? 米国本土の生産能力を専門家が指摘 トランプ氏「中露北の共謀」を当面懸念せず
イチロー選抜が高校女子選抜に快勝、5年連続白星 松井秀喜氏2年連続3ラン&イチロー氏1安打完封14K
松井秀喜氏「女子野球は確実に成長」 ケガ防止徹底し「健康に最後までできたのが一番」
松井稼頭央、イチロー選抜に初出場 「最高の時間」女子野球の姿勢を称賛
【日印経済】第12回日印ビジネス・リーダーズ・フォーラム開催 経済安保・脱炭素・宇宙分野など連携強化へ
ロイヤルホスト、秋の新フェア「Good JAPAN 牡蠣とワイン」と「MARRON DESSERT SELECTION」を発表
ロッテ、ハードグミ新ブランド「KAZITTE!」発売へ
小柴卓人社長「死ぬまで続ける」 US ROCK BLAST 2025 六本木で開催
台湾・台北メトロは清潔さと利便性でアジア随一と絶賛
台湾・台南観光最強スポット、観光客も再訪熱望 奇美博物館や安平古堡を超え1538万人集客
中之島公園が光と音で変貌 文化庁主催「MUSIC LOVES ART 2025」大阪でアート×音楽×都市が融合する2日間
第47回ぴあフィルムフェスティバル開幕へ ヌーベルバーグ特集や仲野太賀・李相日らが選ぶ名作上映
台湾シンガーソングライター・陳定宥、新曲『自分をゼロに戻す』を発表 「再出発の勇気」をテーマに配信リリース
第21回大阪アジアン映画祭関連企画 「OSAKAシネマスケープ2025」開催決定!韓国アニメ新作&国際映画21本を上映へ
大阪アジアン映画祭「台湾ナイト」開幕 台湾映画『私たちの意外な勇気』上映に300人超集結
郭偉山の見解:米高関税が印中露の三国関係に与える影響
まとめ》米ホワイトハウスでトランプ氏がテック業界晩餐会 チップ関税示唆にザッカーバーグ氏のうっかり発言で会場笑い
舞台裏》台湾・国民党の大物、中国の招待を拒否 賴清徳氏の一言で洪秀柱氏がパレードに参加決定
国際動向》米軍に命じ疑わしい麻薬船を撃沈、11人死亡 トランプ氏の反麻薬強調の狙いは?『エコノミスト』誌:中南米介入で地政学リスクも
金正恩氏、プーチン氏との会談後に徹底警備 北朝鮮随行員が「現場の痕跡を完全消去」
ヒューガルデン、渋谷で「WHITE BEER STAND」9月5日開幕 600年歴史のベルギービールと食文化を体感
夏珍コラム:司法官に合格したら、まず拘置所で一週間を過ごすべき!
JAL機長が酒気帯びで国際線大幅遅延 検査記録改ざんも発覚、国交省が調査へ
舞台裏》台湾、日本主導の机上演習を土壇場で中止 背景に「敗北を見せられない」国防当局の判断か
世界「最も安全な国」ランキング発表 18年連続首位はどこ?台湾の順位にも注目
米国、台湾海峡有事に備え動く兆候 国防部予算書が示す米台軍事協力の新局面
ネットが急に遅くなった?9本の海底ケーブル損傷、「台湾が孤立危機」と報告、「修復時間」を説明
再生エネルギーの逆襲?2040年に50万トンの廃棄太陽光パネル 環境汚染の新たな火種に
イチロー選抜、女子高校選抜に快勝 14奪三振&松井秀喜の一撃に観客2万人熱狂
ハリー・ポッターファン必見!東京「バック・トゥ・ホグワーツ」特別イベント開催 記念ラッピングトレインも運行開始
舞台裏》台湾・台中市長の盧秀燕氏、国民党主席選挙には不出馬 党内外の勧誘も一蹴
舞台裏》台湾・元国民党主席 洪秀柱氏、天安門で国家指導者級待遇?当局が動向を確認、批判覚悟で参加