アメリカのトランプ大統領とファーストレディのメラニア氏は、4日夜、ホワイトハウスでテクノロジー業界の経営者を招いた晩餐会を開いた。出席者にはアップルCEOティム・クック氏、マイクロソフトCEOサティア・ナデラ氏と共同創設者ビル・ゲイツ氏、グーグルCEOサンダー・ピチャイ氏、OpenAI CEOサム・アルトマン氏、メタCEOマーク・ザッカーバーグ氏ら著名人が並んだ。一方、テスラのイーロン・マスク氏は招待を受けたものの「出席できなかった」とテスラ側が説明した。
トランプ氏、晩餐会で経済・政策シグナル
晩餐会でトランプ氏は、ロシア・ウクライナ情勢について言及し、プーチン氏との会談も示唆した。アメリカ経済や雇用についても触れ、労働者数のデータへの疑念を示すとともに、就業成長はテクノロジー産業への基盤投資に依存すると強調した。
さらに、アメリカに輸入される半導体やコンピューターチップに「かなり高い関税」を課す意向を示しつつ、企業が国内投資を行えば関税を免除するとほのめかした。アップルのクック氏には「状況はかなり良くなる」と説明した。
晩餐会での注目シーン
政策議論に加え、注目すべきインタラクションもあった。
- ザッカーバーグ氏の「うっかり発言」瞬間:CNNによると、トランプ氏からイギリスの言論自由について質問された際、ザッカーバーグ氏は思わず「まだ準備できていません」と口にした。この発言はマイクに拾われ、会場は笑いに包まれた。トランプ氏は「これは君の政治キャリアの始まりだ」と返したが、ザッカーバーグ氏はすぐに「そうではありません」と訂正した。
- ゲイツ氏、トランプ氏を称賛:ゲイツ氏は、トランプ氏が「ワープスピード計画」を通じてワクチン開発を加速させたことを高く評価した。また、両者はアメリカの技術革新を次の段階へ押し上げる取り組みを進めており、特定の病気の治療や根絶に向けた議論も行っていると明かした。
- ピチャイ氏、反トラスト訴訟勝利に安堵:Googleが反トラスト訴訟で勝利した後、ピチャイ氏はトランプ氏に「この件が終わってうれしいです」と語った。これに対し、トランプ氏は「今日は本当に良い日だ」と応じ、会場には和やかな雰囲気が広がった。

晩餐会会場は急遽変更、AI教育会議も同日に開催
本来はローズガーデンで開かれる予定だった晩餐会は、当日の雨の影響でステートダイニングルームに場所を変更して行われた。ローズガーデンには最近、地面の舗装や日傘、テーブルが設置され、トランプ氏のフロリダ州マールアラゴの邸宅に似た装飾が施されているという。同日午後には、ホワイトハウスで新設された人工知能教育小委員会の会議も開催され、メラニア夫人が司会を務め、「ロボットはすでに私たちの生活に入り込み、未来はもはやサイエンスフィクションではない」と強調した。会議にはグーグルのピチャイCEO、IBMのクリシュナCEO、Code.org代表のウィルソン氏が出席した。
政治とテクノロジーの交差点
今回の晩餐会は、単なる経営者の集まりではなく、アメリカのテクノロジーと政治が交差する舞台となった。ザッカーバーグ氏のうっかり発言、ゲイツ氏の称賛、トランプ氏の高関税発言と投資免除の条件提示は、テクノロジー企業が政策に影響を及ぼす存在であることを示している。また、地政学的緊張と技術競争の中で、テクノロジー企業が単なる商業プレーヤーではなく、国家政策の重要な支柱となっていることも浮き彫りになった。
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