日本航空(JAL)は4日、国際線の機長が宿泊先で飲酒し、翌日の勤務前に酒気帯び状態で検査に引っかかったため、運航予定だった便が最大18時間遅延したと発表した。機長は複数回にわたり酒精検査記録を改ざんしていたことも判明し、解雇を含む厳しい処分が検討されている。影響は3便に及び、約630人の乗客が不便を強いられた。
ハワイ発中部行きで発覚 最大18時間の遅延
問題が起きたのは8月28日、ホノルル発・名古屋中部国際空港行きの便。出発前のアルコール検査で機長から基準値を超える酒気が検出され、直前に代替要員を手配したため、同便を含む3便が大幅に遅延。中には18時間以上の遅れが生じた便もあった。
機長は前夜、宿泊先ホテルでビール3本を飲んだことを認めた。JALはただちに同機長を自宅待機とし、代替要員を派遣。しかし急な調整により東京・羽田行きの便も連鎖的に遅延した。
JAL、また飲酒トラブル 問題機長は「禁止令」破り10回程度https://t.co/Q4lT1RwKIJ
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei)September 4, 2025
国交省が調査、繰り返された飲酒と改ざん行為
国土交通省は直ちに特別調査を開始。調べで、この機長は2024年12月に施行された「勤務中・宿泊先での飲酒禁止規定」以降、少なくとも10回にわたり海外宿泊地で飲酒していたことが判明した。さらに、アルコール検査器の日時を改ざんし、会社への発覚を免れようとしていたことも確認された。
JALの安全統括責任者である中川由起夫常務執行役員は4日の記者会見で「規律を徹底する意識が欠け、現場での把握も不十分だった」と深く謝罪した。
相次ぐ不祥事、再発防止策は形骸化
JALは2024年にも飲酒をめぐる不祥事で国交省から業務改善命令を受けていた。昨年4月には米国滞在中の機長が泥酔し、現地警察の警告を受けたほか、12月にはメルボルン発日本行きの便で2人の機長が酒気帯び検査に不合格となり、便が遅延した。

こうした経緯を受け、JALは2025年1月に「再発防止策」を国交省へ提出。過度な飲酒習慣のある社員のリスト化や監督強化を約束していた。にもかかわらず、わずか1年も経たず再び重大な問題が発覚した形だ。
厳罰と再発防止が焦点に
航空業界において飲酒問題は安全運航に直結する重大事案であり、今回のケースは「組織的な規律欠如」を改めて浮き彫りにした。今後、当該機長の懲戒処分に加え、JAL全体のガバナンスや安全管理体制の実効性が厳しく問われることになりそうだ。
編集:柄澤南 (関連記事: 「世界一清潔な航空会社」に台湾のエバー航空 ANAやJALを上回り初の快挙 | 関連記事をもっと読む )
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