日本政府は当初、廃棄された太陽光パネルを回収システムに組み込むことを法律で義務付けることを検討していたが、「誰が回収費用を負担するか」という課題で行き詰まっている。責任の分配に関する合意が得られないため、現在、立法作業は一時中断されている。環境大臣の浅尾慶一郎氏は、廃棄された光電板を適切にリサイクルすることが将来の主要な課題であると指摘し、再生可能エネルギー産業が最終的に環境汚染を引き起こすことを避けるため、政府は関連法規の検討を続ける意向を示している。
日本の将来の廃棄量はどれほどになるのか?
推計によれば、太陽光パネルの寿命は約20〜30年であり、日本では2030年代後半から廃棄の波が押し寄せる。2040年代初頭には、年間廃棄量が50万トンに達する可能性がある。回収メカニズムがなければ、埋立地の不足や不法投棄の問題が懸念され、コミュニティと環境に対する脅威となる可能性がある。
回収と埋立費用は何故争点となるのか?
実際の処理コストの差異が責任分担を困難にしている主要な理由である。
- 一枚の太陽光パネルの回収費用は約3,000円である。
- 埋立方式に切り替える場合、費用は約2,000円に過ぎない。
- 処理規模が拡大し、例えば一度に2,000枚の光電板を廃棄する場合、回収と埋立費用の差額は200万円に達する。
経済的な誘因から、業者はよりコストの低い埋立方式を選択する傾向があるため、政府が法律を通じてメーカーに回収費用を負担させることを難しくしている。
製造業者又は使用者が責任を負うべきか?矛盾はどう解決されるのか?
浅尾氏は、政府は初期に製造業者と輸入業者に回収費用を分担させることを考えていると説明する。しかし、自動車や家電とは異なり、光電板はより長い使用期間を持つため、廃棄が必要になる頃には、一部の海外製造業者がすでに倒産している可能性があり、制度が無効化されるという問題がある。さらに、現行の自動車や家電の回収費用は多くが消費者により負担されているが、もし光電板だけが例外になると、制度設計における一貫性が損なわれる。
社会の声と専門家の見解
日本の複数の環境団体は共同声明を発表し、政府に対して光電板の回収を迅速に義務化することを強く求めた。彼らは警告する。「使用後の光電板の棄置問題は、地域紛争の大きな原因となっており、光電板の回収義務化の遅れは再生可能エネルギーの拡大導入を妨げることになる」。
富山大学環境行政法の専門家である神山智美氏は、「製造業者に製品の使用後の回収再利用を責任持たせることは、無駄な設計や包装を減らし、製造業者がリサイクルに有利な製品を開発する努力を促すでしょう」と指摘。
知識補充:太陽光パネルの国際的なリサイクル事例
現在、ヨーロッパの一部の国では、光電板の回収責任制度を確立しており、例えばドイツでは生産者責任を制度化しており、廃棄後の回収と再利用を含む全ライフサイクルをメーカーに対して負担させている。それに比べて、日本はこれまで法制化を完了しておらず、費用分担と制度設計の矛盾が主な障害となっている。再生可能エネルギーの促進とともに、回収システムの健全性は産業の継続可能な発展に直接影響し、再生可能エネルギーに対する社会の長期的な信頼とも関わっている。
編集:佐野華美
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