台湾と米国の間には、すでに「モントレー対話」「国防安全会談」「政治・軍事対話」という三つの定例対話の枠組みが存在している。しかし、国防部が公表した2026年度予算書によれば、新たに「国防政策プロジェクト会議」が設置され、双方の軍事議題を扱う最上位の対話プラットフォームとなる見通しである。淡江大学国際事務与戦略研究所の兼任助理教授である揭仲氏は、これは米台間の軍事安全対話における新たな突破口であり、米国が台湾海峡での戦争介入を準備している可能性も否定できないと指摘している。
国防部予算書が明らかにした米台「国防政策プロジェクト会議」
揭仲氏は、台湾と米国の「二国間軍事安全対話」に新たな突破口が開かれると述べた。国防部が公表した2026年度予算書によれば、来年から台湾と米国は既存の「モントレー対話(Monterey Talks)」「国防安全会談(Defense Review Talks, DRT)」「政治・軍事対話(Political and Military Dialogue)」という三大定例対話に加え、新たに「国防政策プロジェクト会議」を設置し、「両国防省の軍事議題における最上位の対話プラットフォーム」と位置付ける方針である。国防部は米国に最大32人規模の代表団を派遣する計画だという。
また揭氏は、国防部が2026年から2028年にかけて、総額4億7123万元(約1545万米ドル)を投じ、新たな「米台国防部共同協力評価(JFD)」を実施すると指摘した。そのうち2026年度には1億5250万元が計上されている。
揭氏によれば、この評価計画は期間の長さ、規模の大きさともに、二国間の「非軍事調達型」交流プログラムとしては極めて異例であり、米台国防部がさらなる「行動計画の調整」に向けた準備を進めている可能性を示すものだという。
さらに揭氏は、現在の台湾と米国の三大公式定例政策対話の仕組みについて解説した。最上位に位置する「モントレー会談」には、国家安全会議、国防部、外交部の高官が出席し、国家安全と軍事戦略の双方にまたがる方針を議論する。「政治・軍事対話」は外交を主題とするが、国防部の高官も参加する。「国防安全会談」は軍事分野に特化し、両国防部の高官が中心となる。これら三大政策対話の下には、国防部参謀本部や各軍種司令部が武器調達や軍售案件を中心に協議する「プロジェクト政策会議」があり、さらにその下に各軍種による実務レベルの会議が存在している。 (関連記事: 舞台裏》台湾での兵棋演習中止 国安会議が開催を阻止 | 関連記事をもっと読む )
「国防政策プロジェクト会議」、台湾が32人を派遣
揭仲氏は、2026年に新設される「国防政策プロジェクト会議」について、これは「二国間国防部の軍事議題」を扱う最上位のプラットフォームとなり、台湾側は32人規模の代表団を派遣、会期は2週間以上に及び、総額1540万元の海外出張予算が計上されていると述べた。国防部の公開予算書には詳細は明記されていないが、台湾の国防部長はいまだにワシントン入りが実現していないため、副部長が本部や参謀本部の高官を率い、米国防総省の関係者と台湾の防衛や二国間の重要軍事協力について深く包括的な協議を行うとみられる。