Apple、NVIDIA、クアルコム(Qualcomm)、アマゾン(Amazon)など世界の大手テック企業は次々とTSMCに製造を委託している。NVIDIAの黄仁勳(ジェンスン・ファン)CEOは8月に電撃訪台し、TSMCの魏哲家董事長と会談。次世代「Rubin」プラットフォームの協業を確認し、TSMCの先端技術が需要を強固に結びつけていることを示した。
TSMC 2ナノ技術流出事件
一方、TSMCの2ナノ技術流出事件が波紋を広げている。検察の調べによれば、少なくとも9人のエンジニアが関与しており、新竹・宝山Fab 20の技術者3名と研究開発支援部門の6名が含まれる。TSMCは世界で最も先進的な半導体製造企業であり、2ナノは業界最高水準の技術門戸とされる。年末に2ナノ量産を予定する中での事件は、台湾の半導体産業が抱えるリスクを改めて浮き彫りにした。
情報流出先とRapidusの台頭
流出先とされるのは、日本の装置メーカー東京エレクトロン(TEL)であり、同社はRapidusの重要なパートナーでもある。Rapidusは2024年12月にEUV露光装置を導入し、2025年7月には2ナノ試作に成功したと発表。この進展はTSMCの技術流出との関連をめぐり市場で注目を集めている。
日本政府の巨額支援
Rapidusは日本政府の全面的な後押しを受けている。政府は研究開発や量産体制の整備を支援するため、総額1.7兆円を投資。さらに2025年中には追加で1000億円の資金が投入される予定で、2ナノ量産に向けた研究開発サイクルの短縮を狙う。
2ナノ競争の激化
とはいえ、市場の見方ではRapidusとTSMCの間には依然として大きな差がある。生産規模、歩留まり、技術蓄積の面でRapidusは後発に位置づけられる。現在の2ナノ競争はTSMC、Samsung、IntelにRapidusが加わる構図となっている。SamsungはGAA構造の2ナノを今年下半期に量産予定。Intelも新経営陣の下、18Aプロセスで巻き返しを狙っている。
年内に2ナノ量産を開始
台湾積体電路製造(TSMC)は、自社の2ナノメートル製造プロセスの量産を2024年第4四半期に予定通り開始する。サプライチェーンの情報によれば、初期の委託生産価格は1枚あたり約3万米ドルに達する見通しだ。高価格でありながらも、Apple、AMD、クアルコム(Qualcomm)、メディアテック(MediaTek)、ブロードコム(Broadcom)、インテル(Intel)といった大手顧客はすでに年末までに生産導入や協業を開始する構えを見せており、先行的な供給確保を急いでいる。 (関連記事: Rapidus、2ナノ技術でTSMCに肉薄 日本半導体復権の歴史的転換点? | 関連記事をもっと読む )
需要の拡大と2027年の展望
TSMCは2ナノ量産の開始により、2026年には顧客の投片量がさらに拡大すると見込んでいる。さらに2027年には、AI GPUの最大手NVIDIAをはじめ、Amazon傘下のAnnapurna、Google、Marvell、中国の比特大陸(Bitmain)など10社以上の世界的テック企業が相次いで2ナノ量産に参入する予定だ。これにより、需要は一段と拡大し、先端半導体市場の競争が激化することが予想される。