米国連邦控訴裁判所は8月29日、ドナルド・トランプ大統領が推し進めてきた「相互関税(Reciprocal Tariffs)」政策の大部分を違法とする判断を下し、ホワイトハウスにとって大きな打撃となった。今回の判決を受け、関連する関税政策が継続されるのか、それとも廃止されるのかに注目が集まっている。
最高裁での最終決戦へ
台湾の経済評論家・阮慕驊氏はSNS上で見解を示し、「予想通り、最終決戦の場は米国連邦最高裁判所になる」と指摘。トランプ氏はあらゆる影響力を行使し、最高裁の最終判断に影響を与える可能性が高いと述べた。
また、仮に最高裁が下級審と同様に「違憲」との判断を維持したとしても、通商拡大法232条に基づく4つのカテゴリー(鉄鋼・アルミ・銅、自動車およびその部品、さらに将来的に半導体や医薬品)に関しては、引き続き関税を課すことが可能だと説明した。
裁判所の判断と延長措置
米連邦控訴裁は、下級審の判断を支持し「国際緊急経済権限法(IEEPA)は大統領に関税賦課の権限を与えておらず、関税は憲法上、議会に与えられた核心的権限だ」と明言した。
ただし、裁判所は関税措置の執行期限を10月14日まで延長し、その間は関税が有効であり、トランプ政権には最高裁に上訴する時間が与えられている。
「大統領に課税権限なし」は明白
阮氏は「事実はすでに明白であり、米国大統領には相互関税を課す権限はない」と強調。今回の審理では11人の判事が参加し、7対4で違法・違憲と判断された。なお、裁判所には12人の判事が所属しているが、そのうち98歳の判事1人は職務を外れている。
米国の三権分立に試練
阮氏はさらに、今回の事案は「米国建国以来の三権分立の精神を試すものになる」と強調。最高裁が外部からの干渉なく判断すれば、相互関税は違法と認定される可能性が高いと述べた。
ただし、トランプ氏が行政権力を駆使し司法に影響を及ぼす可能性については「依然として不透明だ」と指摘。すでにトランプ氏が連邦準備制度理事会(FRB)の独立性に実質的な影響を与えていることを踏まえると、「今後も三権分立の精神が維持されるかは疑問が残る」と分析した。
編集:柄澤南 (関連記事: 「米国は理不尽でも強気」台湾専門家、関税交渉の難しさを指摘 | 関連記事をもっと読む )
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