上海協力機構(SCO)首脳会議、天津で開催 習近平主席が「五大堅持」を提唱し国際秩序への影響力拡大を狙う

2025-09-02 08:00
インドのモディ大統領が自ら中国を訪問し、上海協力機構首脳サミットに出席、中華人民共和国の習近平主席と面会した。(写真/新華網より)
インドのモディ大統領が自ら中国を訪問し、上海協力機構首脳サミットに出席、中華人民共和国の習近平主席と面会した。(写真/新華網より)
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上海協力機構(SCO)は1日午前、中国・天津で第25回加盟国首脳理事会を開いた。本年度の議長国を務めるのは中国で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領やインドのナレンドラ・モディ首相など、主要加盟国の首脳が出席した。

会議において中国の習近平国家主席は、今後の協力の基本方針として「求同存異(相違を認めつつ共通点を追求する)」「互利共贏(互恵と共栄)」「開放包容(開放と包摂)」「公平正義」「務実高効(実務的かつ効率的)」の「五大堅持」を打ち出した。習主席は、加盟国が多様な価値観や制度を持つことを踏まえつつ、共通の利益を追求すべきだと強調した。

さらに習主席は、加盟国間で直面する安全保障上の脅威に対応するため、「安全脅威と挑戦への対応総合センター」を早期に稼働させる必要性を指摘した。同時に、経済協力の基盤を強化するため、「上海協力機構開発銀行」を早急に設立・運営することの重要性にも言及した。

SCOの前身は「上海五カ国」であり、冷戦終結後の1996年に中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタンが国境安全問題に対応するために設立、2001年に現在の上海協力機構へと発展した。現在、SCOは10の加盟国、2つのオブザーバー国、14の対話パートナー国を擁し、中国、ロシア、インド、イランなどが加盟している。

上海協力機構加盟国首脳理事会の第25回会議が天津で開催され、出席した国家指導者たちの記念撮影。(新華社より)
上海協力機構(SCO)第25回首脳理事会が天津で開かれ、出席した各国首脳が記念撮影に臨んだ。(新華社より)

習近平、プーチン、モディの密接な交流

今回の首脳会議で大きな注目点となったのは、中国とインドの関係進展である。モディ首相が今回、7年ぶりに中国本土を訪れ、上海協力機構(SCO)首脳理事会に自ら出席したことは、中印関係の緩和を象徴する動きといえる。習近平国家主席は前日にモディ首相と会談し、中国とインドは二大東方文明の古国であり、世界で最も人口の多い両国であると同時に、グローバル・サウスの重要な一員でもあると指摘。両国は自国民の幸福、途上国の団結と振興、人類社会の進歩という重大な責務を担っていると述べた。その上で「隣友として相和し、互いに成就し合うパートナーとなり、『龍象共舞』を実現することこそが正しい選択である」と強調した。

一方、アメリカがインドに対して最大50%という世界最高水準の関税を課したことについて、一部には「トランプ大統領のこの措置は『インド太平洋戦略』を自ら瓦解させるものであり、結果的にインドを中国やロシアへと押しやることになる」との分析も出ている。

本日の理事会開催に先立ち、各国首脳は屋外で記念撮影に臨んだ。この際、モディ首相とプーチン大統領が習近平国家主席に歩み寄り、「3人の小窓」を開いて談笑する場面が見られた。撮影後も3人は再び集まり、親しく言葉を交わすなど、三者の緊密な交流が強く印象づけられた。 (関連記事: 英FT報道:ホワイトハウス会議で「中国軍をウクライナ平和維持部隊に」 欧州・ゼレンスキー大統領が即時拒否 関連記事をもっと読む

2024年10月23日、インドのモディ首相(左から)、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席がロシアのカザンで開催されたBRICSサミットに出席した。(AP通信)
2024年10月23日、インドのモディ首相(左)、ロシアのプーチン大統領(中央)、中国の習近平国家主席(右)がロシアのカザンで開催されたBRICSサミットに出席した。(写真/AP通信提供)

習近平「多国間主義を実践し、覇権・強権に反対」

習近平国家主席は首脳理事会で演説し、24年前に上海協力機構(SCO)が設立された際、「互信、互利、平等、協議、多様な文明の尊重、共同発展の追求」という「上海精神」が確立されたと振り返った。この24年間、加盟国はその理念を堅持し、共同発展を図ることでSCOの発展を推進してきたと述べた。具体的には、国境地域における軍事分野の信頼醸成メカニズムを率先して構築し、国境を協力と互信の絆とし、矛盾や対立を適切に管理し、外部からの干渉を拒否することで平和と安定を維持してきたと強調した。

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