台湾立法院の新会期が9月1日に始まり、国民党団は幹部就任式を開催した。これには民進党団総召(院内総務)の柯建銘氏が王義川立法委員を伴って出席し、国民党・民衆党両党の総召である傅崐萁氏、黄国昌氏と笑顔で言葉を交わした。近年、議会やメディアで対立を深めてきた与野党の姿からは一転し、この日は「国民党・民進党・民衆党が最も平和に見えた一日」と形容された。
黄国昌「民進党の過去と比べたら…」
式典前、黄国昌氏は柯建銘氏との雑談の中で、民衆党が主催した「走読」活動をめぐる警察との衝突に触れた。黄氏は「集遊法(集会遊行法)で問題になるのは初めてではない」としたうえで、「笑わせないでくれ。太陽花(ひまわり学生運動)の時は直接国会に突入した。民進党の過去と比べものになるか」と語った。
さらに黄氏は、かつて民進党が火炎瓶を投げた事例や、昨年には民進党の鍾佳濱委員が油圧カッターを使用した件に言及。「その時は内政部長の劉世芳氏が何も発言しなかった」と皮肉を込めた。続けて「昨日の私は素手で対応しただけで、こんなに温和だった」と笑いながら付け加えた。
傅崐萁「民進党団は核弾部隊」
挨拶に立った国民党団総召の傅崐萁氏は、柯建銘氏が率いる民進党団について「まるで狼や虎のようだ。野戦部隊や装甲部隊ではなく、まさに核弾部隊だ」と評し、今後も国民党団に多くの「震撼教育」を与えるだろうと語った。さらに「柯氏は我々に知識を与えてくれる。民主国家とはこういうやり方もあるのかと学ばせてくれる」と冗談交じりに述べ、30年来の友人として柯氏を「一代の真の男」と紹介。「牙をむく時もあるが温かい一面もある。民進党の“万年総召”に盛大な拍手を」と呼びかけた。
柯建銘「理性と務実で国会を運営」
これに対し柯氏は、黄国昌氏も交えて談笑したことに触れ、「私と王義川委員はオリーブの枝を差し出しに来た」と述べた。さらに「明知山有虎、偏向虎山行(虎がいると知りながら山に向かう)」と引用し、政党間の目標は一致していると強調した。
柯氏はまた、「大規模なリコールについて成功か失敗かをここで論じるのは耳障りだが、すでに過去のことだ。これからは新たな境地に進み、理性と務実で国会に臨むべきだ」と発言。「国家の進歩と発展を共に追求するのが目的だ。違法や違憲でなければ何でも議論できる。傅総召が『違法や違憲とは何か』と尋ねれば、それぞれが定義すればよい」と語った。
黄国昌「耐えてくださいよ」
式典の散会時には、時代力量出身で民衆党団総召の黄国昌氏が柯氏に向かって「しっかり耐えてくださいよ」と笑いながら声をかけ、民進党内で浮上する「逼宮(党内クーデター)」の動きを皮肉った。最近の立法院を覆ってきた緊張した空気とは異なり、この日は珍しく与野党間で和やかな場面が見られた。
編集:柄澤南 (関連記事: 舞台裏》台湾・頼清徳政権に試練 行政院の予算説明に民進党立委から不満噴出「官僚的すぎて理解不能」 | 関連記事をもっと読む )
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