自動車部品大手の株式会社デンソーは1日、取締役会においてスパークプラグおよび排気ガスセンサー事業(酸素センサー、空燃比センサー)を日本特殊陶業株式会社(ニテラ)に譲渡することを決議し、同日付で事業譲渡契約を締結したと発表した。

譲渡の背景
自動車業界ではカーボンニュートラル社会の実現に向けて電動車の普及が加速する一方、各地域・各国の燃料事情やエネルギー政策に応じてパワートレインの多様化も進んでいる。こうした市場環境の変化を踏まえ、デンソーは全領域での製品革新を推進し、将来の市場規模に即した持続可能な供給体制を確立することを業界全体の課題と位置づけてきた。
日本特殊陶業への移管
この方針の一環として、デンソーは2023年7月に内燃機関部品の一部事業を譲渡する基本合意書(MOU)を締結。その後協議を重ね、今回正式に合意に至った。両社はスパークプラグや排気ガスセンサーにおける高い技術力と品質へのこだわりを共有しており、譲渡後は技術と生産力を統合することで内燃機関の性能強化を目指す。
デンソーの今後の戦略
デンソーは今後、電動化や水素といった次世代クリーンエネルギー分野に経営資源を集中投資し、持続的な成長を図る方針を示した。さらに、顧客や取引先、従業員を含むステークホルダーとの対話を重視し、幅広い技術基盤を活かして各国市場のニーズに応えることで、持続可能かつカーボンニュートラル社会の実現に貢献していくとしている。
実施時期と手続き
今回の事業譲渡は、各国・地域の競争法当局による承認や必要な手続きを経て実行される予定であり、具体的な実施日は未定となっている。
デンソー企業概要
デンソーの本社は愛知県刈谷市にあり、世界180拠点で先端技術や部品を開発・製造している。事業分野は電動化、パワートレイン、熱機器、モビリティエレクトロニクスなど多岐にわたり、グローバル従業員数は約15万8千人。2025年3月期の連結売上高は約7兆1,618億円で、売上高の約8.6%を研究開発費に投じている。
編集:梅木奈実 (関連記事: Netflix、日本上陸10周年で渋谷にて記念イベント開催 「今際の国のアリス」シーズン3グローバル企画も | 関連記事をもっと読む )
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