台湾・民衆党が総統官邸前でデモ 柯文哲元台北市長の「公正な裁判」を求め警察と対峙

2025-09-01 15:00
柯文哲氏の妻、陳佩琪氏(写真)が総統頼清徳氏に「柯文哲氏に公平な裁判を」と訴えた。(写真/顏麟宇撮影)
柯文哲氏の妻、陳佩琪氏(写真)が総統頼清徳氏に「柯文哲氏に公平な裁判を」と訴えた。(写真/顏麟宇撮影)
目次

台湾の民衆党前主席・柯文哲氏の自宅と党本部が家宅捜索を受けてから、8月30日でちょうど1年となった。これに合わせて民衆党は午前7時半、「政治的迫害を終わらせ、国家の正義を取り戻す」と題したデモ行進を企画。中正紀念堂(自由広場)に集合し、総統官邸まで行進する予定だった。しかし、警察は事前に人員を配置し、愛国西路を封鎖。参加者はバリケード前で足止めされ、両者がにらみ合う展開となった。

民衆党の公職者や支持者は朝7時半に自由広場に集まり、午前8時に出発。だが隊列は出発後まもなく阻止され、現場には百人規模の警察が展開した。膠着状態は数時間続いたが、午後1時ごろに双方が協議し、民衆党が「衝突行為は行わない」と約束したことで、警察が一部通行を解放。民衆党側はその場で総統官邸の代表者に陳情書を手渡した。

この場に柯文哲氏の妻・陳佩琪氏も同行し、官邸代表に直接「この陳情を頼清徳総統に伝えてほしい。柯文哲に公正な裁判の機会を与えてほしい」と呼びかけた。

20250830-民眾黨30日進行「司法改革,公民走讀」活動,於愛國西路中山南路口與警方發生推擠。(顏麟宇攝)
民衆党は30日、「司法改革・市民ウォーク」と題した行動を行い、愛国西路と中山南路の交差点で警察と衝突した。(写真/顏麟宇撮影)

民衆党と警察が衝突、群衆は「頼清徳は退陣せよ」と連呼

民衆党のデモ隊を率いた黄国昌主席は現場で警察に強く抗議し、「なぜ歩道まで通行を許さないのか」と問い詰めたうえで、警察官に向かって「このような恥ずべきことをして笑顔を浮かべるな」と声を荒らげた。さらに歩道を行進するのは市民の権利だと訴え、「台湾はいつからこんな国になったのか」と憤った。双方のにらみ合いは続き、民衆党の参加者たちはバリケード前に集まり「頼清徳下台(頼清徳は退陣せよ)」「嘘つき総統は退陣だ」「頼清徳起きろ、頼清徳起きろ」「われわれは国家の団結十講を聞きたい」と次々と叫んだ。

午前11時過ぎには、民衆党の立法委員や地方議員、党職員らが警察の設置した柵の内側に進入し、現場の警備部隊と直接対峙した。警察は愛国西路口に設けたバリケードに加え、総統官邸に通じる方向に第二のバリケードを追加設置。現場は一層緊張を増した。その後、群衆の一部が柵をつかんで激しく揺さぶり、結束を緩めようと試み、さらには第一層の阻止具を倒して突破口を探そうとした。参加者らが協力してバリケードを持ち上げて押し進める場面もあり、一時現場は混乱状態となった。

20250830-民眾黨30日進行「司法改革,公民走讀」活動,於愛國西路中山南路口與警方發生推擠。(顏麟宇攝)
民衆党の支持者がバリケードをつかみ激しく揺さぶり、突破口を探そうとした。(写真/顏麟宇撮影)

黄国昌氏「今日は陳情ではない」―頼清徳総統を強く批判

午後1時20分頃、総統官邸の代表が姿を現し、陳情書を受け取った。黄国昌氏はその場で参加者を制止し、「二軍交戦、不斬来使(交戦中に使者を斬るな)」と述べて冷静さを求めつつも、頼清徳総統を強く批判。「なぜ自ら出てこないのか。なぜ民進党は約束を守らないのか。我々は単なる陳情のためにここに来たのではない。人民の声を頼清徳に直接聞かせるために来たのだ」と訴えた。さらに「頼清徳は柯文哲の母親や妻の陳佩琪氏に形ばかりの配慮を見せる偽善をやめるべきだ。問題の解決は簡単だ、二文字で済む。『釈放』だ。柯文哲をこれ以上拘束するな」と声を張り上げた。

最新ニュース
台米関税交渉、10月末決着目指す 劉大年氏「米国は理不尽でも強情」交渉の難しさを吐露し各国の人材不足に言及
インドネシア全土で暴動拡大 官僚邸宅が襲撃され大統領は訪中中止、政権に最大の危機
舞台裏》台湾・林佳龍外交部長が極秘訪比 「東京モデル」に続き第一列島線で外交加速、中国は強く反発
東京・世田谷で刃物切り付け殺害事件、韓国籍女性死亡 逃走した男の身柄を羽田空港で確保、交際相手か
舞台裏》台湾・頼清徳政権に試練 行政院の予算説明に民進党立委から不満噴出「官僚的すぎて理解不能」
世界は地震活発期へ?台湾でM7以上の強震リスク、発生確率は半数超え
舞台裏》台湾・高雄で不安拡大 高雄・大林蒲で移転計画が前倒し 住民の健康被害と市長選をにらむ政治判断
舞台裏》台湾・民進党に高まる焦燥と拙い政権運営 頼清徳氏の出身派閥「新潮流」内部からも異論
沖縄ダイビング事故 台湾人2人死亡、水深30メートル海底洞窟で発見
台湾・頼清徳総統が国安チームを刷新 外交・国防の専門家と若手人材を起用し体制強化へ
天気予報》週末まで雷雨・ひょうの恐れ 台湾北部では38度予想、猛暑と台風発達に警戒を
インドネシア・ジャカルタで暴力的な抗議デモが発生 警察対応の誤りが火種に
インドネシア全土で暴動拡大 配達員死亡が引き金、国会自肥と警察暴力に国民の怒り爆発
台湾はトランプに売り渡されるのか? 元立法委員・郭正亮氏、中国の「異例の動き」に警鐘―台海戦争はウクライナ戦争以上に深刻化の恐れ
トランプ関税外交に各国が不安 シンガポール・UAE主導で新貿易連合構想、「透明でルール重視」の体制守る狙い
台湾の国防予算が過去最高に 米上院軍事委員長が訪台、NDAAで対台支援拡大を表明
スカイマーク航空、初の台湾乗り入れ 神戸-台北チャーター便ツアーをライオントラベルが発売
新クルーズ船「三井オーシャンサクラ」 2026年後半に就航へ
「北米貿易の砦」形成へ 米財政赤字40年ぶり高水準 トランプ氏の“洗産地”批判受け、メキシコが中国製品にメス
大阪万博の大屋根リング保存へ 防火規定除外案を軸に検討、9月にも結論
ネットマーブル、東京ゲームショウ2025に初出展 『七つの大罪:Origin』と『モンギル:STAR DIVE』を試遊可能に
急成長するプラントベース市場に新星 「エクリプス ミルク」9月日本初上陸
台海衝突なら20万人の在台フィリピン人をどう守るか 外相「北京に協力を求める可能性」
「誰が中国に立ち向かう決意を欠くのか」 米WSJ社説が警告 台湾は抑止に本気でも米国は武器供与遅延に課題
台湾に毎日240万件のサイバー攻撃 米研究所「北京は兵を使わずネット攻撃で統一狙う可能性」
抗日戦争80年 中国共産党の貢献は誇張か 米大学研究員・郭岱君氏「紅軍の行動が蔣介石を後押し」
台湾の蘇鈺淳監督、新作『メイメイ』がPFFで上映決定 《風傳媒》が荒木啓子総合ディレクターに独占取材
舞台芸術祭「秋の隕石2025東京」 全プログラム発表 10月1日開幕へ
万博「WORLD YOSAKOI DAY」開幕 濵田知事「高知の熱気を世界へ」
万博インド館で「Kochi-DAY」開催 日印をつなぐ“二つのコーチ”交流セレモニー
Peatix、コミュニティの力を社会へ 新体制・アワード開催・夏の自由研究特集で展開加速
六福村や内湾老街を超えた!台湾・新竹で199万人を魅了する絶景スポット
エキュート品川が開業20周年 限定スイーツや「高輪はちみつ」商品、スタンプラリーも展開
静岡にバンダイ新工場併設「BHC PDIIミュージアム」誕生 プラモデル製造体験でホビー文化を発信
英国空母打撃群「プリンス・オブ・ウェールズ」東京寄港 駐日英国大使館が日英関係記念動画を公開
「PFFアワード2025」最終審査員が決定 795本の応募から22作品を選出、10代監督作も入選
PFFプロデュース第30回作品『メイメイ』、第47回ぴあフィルムフェスティバルで世界初上映へ 姉妹俳優が豊橋ロケで共演
台湾頼清徳総統の不支持率が6割超 日本の小笠原欣幸教授「民進党は極めて厳しい局面に」
舞台裏》蔡英文前総統の元側近エリート・鄭亦麟氏 再生可能エネルギー汚職疑惑、検察の盗聴で発覚
エキュート大宮で「SDGsフェア」開催 アップサイクル雑貨やグルメ30商品で社会貢献
夏珍コラム:台湾リコール全敗で窮地 民進党・柯建銘氏は「どこで誤った」のか
TSMCの2ナノ技術流出事件、3人を起訴 最長14年の実刑求刑へ
陸文浩の見解:中露潜水艦が東シナ海で初の連合巡航 同日に台湾海峡で「海空一体演習」 その狙いとは
北京観察》九三軍事パレードを前に日中で世論戦勃発 日本は560億円で国際イメージ刷新、中国メディア「何を恐れているのか」
台湾リコール敗北の余波 頼清徳総統と民進党院内総務・柯建銘の対立が表面化
食料安全保障とブルーエコノミーで日ア連携強化へ TICAD9公式サイドイベント開催 石破首相が登壇
台湾籍の男を逮捕 帰宅途中の女性を500m尾行し都内マンション侵入か 警視庁が捜査
賴清徳氏、党団改選を示唆 柯建銘総召に辞任圧力 民進党内で「反柯」と「同情」が交錯
米政府、インテルに57億ドル出資し9.9%株取得 CHIPS法で半導体主権を確保
【新新聞】トランプ政権、医薬品輸入関税を大幅引き上げへ ジェネリック協会は生存力強化策を政府に要請