インテルの最高財務責任者(CFO)デイビッド・ジンスナー氏は、同社がすでに米国政府から57億ドル(約1,884億円)の出資を受け、9.9%の株式を引き渡したことを明らかにした。これにより、ワシントンは大株主の一角となった。この資金の一部は「CHIPS法」に基づく補助金に由来しており、目的は単なる投資収益ではなく、インテルが「半導体受託製造事業」を売却または分離しないようにすることにある。ジンスナー氏は会議で「政府の立場からすれば、我々がこの事業を切り離したり他社に売却することは望んでいない」と率直に述べた。
出資契約にはどのような特別な条件があるか?
協議には5年間有効のワラント条項が盛り込まれており、インテルが代工事業の持株比率を51%未満に引き下げた場合、政府は1株20ドルで追加の5%株式を取得する権利を持つ。ジンスナー氏は、インテルが持株を50%以下に減らす可能性は低いため、このワラントは「最終的には失効するはずだ」と述べた。ただし、その存在自体が抑止力として機能し、インテルが政府の定めた戦略的な路線から逸脱しないよう担保する仕組みであると指摘した。
トランプ政権のこの動きにはどのような戦略的意義があるか?
米政府によるインテルへの出資は、「トランプ式主権ファンド」の雛形と見なされており、半導体分野にとどまらず、今後は他の戦略産業にも拡大する可能性がある。イエレン財務長官は、造船業が次の投資対象となり得ることを示唆した。長官は「米国は過去に原材料の80〜90%を海外に依存してきたが、パンデミックによってサプライチェーンの脆弱性が露呈した。したがって造船業などの基幹的な生産能力を確保する必要がある」と指摘した。
米政府がインテルに出資する目的は?
- 国内半導体供給網の安全確保:インテルが受託製造事業を外国に売却、または分離することを防ぐ。
- 米国の技術的自立の強化:株式保有を通じて重要産業に対する発言力を掌握する。
- 主権ファンドの試験運用:将来的に造船業やエネルギーなど他の中核分野への拡大を見据える。
インテルの受託製造事業が注目を集める理由は何か?
インテルは世界でも数少ない、半導体の設計と製造を同時に手がける企業である。しかし受託製造部門は長年赤字が続いており、昨年だけで130億ドルを超える損失を計上した。市場では一時、クアルコムなどがこの事業の買収に関心を示しているとの観測が流れ、インテル内部でも分離案が検討されたことがある。ジンスナー氏は、代工事業の将来は14Aプロセスで大口顧客を獲得できるかどうかにかかっていると強調し、「外部からの需要がなければ、内部投資だけで十分なリターンを得ることは難しい」と述べた。
この取引はどのようなリスクをもたらす可能性があるか?
インテルの公開資料によれば、この取引は複数の不利な反応を引き起こす可能性があるという。投資家の不安、社員や顧客の信頼低下に加え、外国政府や競合他社による政治的反発も想定される。また、同社は本件が訴訟の焦点となり得るほか、国際市場における世間の監視を一層強める恐れがあると警告した。これはすなわち、米政府による出資は単なる資金注入にとどまらず、地政学と産業構造を揺るがす深層的な駆け引きであることを意味している。
編集:柄澤南 (関連記事: 政府が大株主に!インテル出資の衝撃 TSMCにも迫る「技術主権リスク」 | 関連記事をもっと読む )
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